【2026年2月最新】 米国最高裁は、トランプ政権がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づき発動した一律関税に対し、「大統領にその権限はない」との歴史的判決を下しました。
本記事では、訴訟の経緯から判決のポイント、そして日本企業が直面する「ポストIEEPA」の新たな関税リスクを、実務の視点で簡潔に解説します。
2026.02.23UP!

【2026年2月最新】 米国最高裁は、トランプ政権がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づき発動した一律関税に対し、「大統領にその権限はない」との歴史的判決を下しました。
本記事では、訴訟の経緯から判決のポイント、そして日本企業が直面する「ポストIEEPA」の新たな関税リスクを、実務の視点で簡潔に解説します。
第2期トランプ政権が、従来の通商法(232条・301条など)ではなく、あえて【IEEPA】を武器に選んだ理由は、ひとえに「議会のチェックを回避し、即座に全品目へ関税を課すため」です。
2026年2月20日、最高裁(6対3)は、大統領の独走に歯止めをかけました。判決の理由は、米憲法第1条第8節に刻まれた「課税権と通商規制権は議会に属する」という大原則の再確認です。
「IEEPAの条文に『関税(Tariff/Duty)』を課す明文の規定はなく、大統領が無限に関税を操作できると解釈することは、議会の権限を侵害するものである」
■ 主要問題原則(Major Questions Doctrine)
経済的・政治的に極めて重大な影響を及ぼす権限の委譲については、議会による「明確な授権」が必要であるという視点。
■ テキストの文脈的解釈
「規制(regulate)」という単語を辞書的な意味だけで捉えず、法律全体の構造、歴史的背景、他の法律(通商法など)との整合性から「本来の意味」を確定させる手法。
■ 価値判断
憲法第1条(議会の権限)や権限分離を重視。大統領が主張する「外交上の便宜」は、憲法構造を破壊してまで優先されるべきではないとされました。
判決を受け、大統領は同日、IEEPAに基づく追加関税の終了を宣言しました。これにより、2025年に収集された1,420億ドルの関税が無効となり、平均実効関税率は16.9%から9.1%へと激減します。
※これらの命令に基づく関税は今後効力を有さず、速やかに徴収が終了されます。ただし、通商拡大法232条や通商法301条に基づく関税には影響しません。
政権は判決と同時に、1974年通商法122条を根拠とした代替措置を加速させています。米国が直面する「根本的な国際収支問題(深刻な赤字、通貨下落等)」に対処するため、2026年2月24日から150日間、10%の一時的輸入サーチャージを課すことを宣言しました。
ステータス:無効・終了
最高裁判決により即時停止。10%の一律関税は法的根拠を喪失しました。
ステータス:新設(2/24〜)
国際収支不均衡を理由に10%を賦課。期限は150日間(延長可能)。
ステータス:本命・拡大
鉄鋼・アルミ・半導体等が対象。個別産業への「ピンポイント攻撃」ツール。
ステータス:維持・強化
中国EVへの100%関税等は判決の影響を受けず維持されます。
経済への影響を考慮し、以下の品目は当面のサーチャージから除外されています。
質問:IEEPA違憲判決により、現在支払っている追加関税はどうなりますか? 回答: 結論として、IEEPAを根拠とする追加関税の徴収は即時停止されます。最高裁が「大統領に明文なき関税賦課権限はない」と判断したため、該当する大統領令に基づく税率は無効です。ただし、既に徴収された関税の還付手続きについては、今後の政府発表や個別訴訟の動向を注視する必要があります。
質問:新しく導入される「通商法122条サーチャージ」とは何ですか? 回答: 1974年通商法122条に基づき、国際収支の深刻な不均衡を是正するために課される一時的な輸入制限措置です。IEEPAとは異なり、原則150日間の期限付きで最大15%の賦課が認められています。政権はIEEPAの代替として2026年2月24日から10%の賦課を宣言しており、実務上の注意が必要です。
質問:日本製の自動車や半導体への影響は継続しますか? 回答: 影響は継続しますが、根拠法が変わります。今回の判決はIEEPA限定であり、安全保障を理由とする「232条」や対中制裁の「301条」は有効なままです。自動車については日米合意の枠組み(合算15%キャップ等)が維持される見込みですが、半導体等の戦略物資は個別品目ごとに狙い撃ちされるリスクが残ります。「最恵国待遇+他国並み」という相対条件にとどまります。