契約交渉から派生する仕事
2021.09.03
交渉案件で、以下の案件をいただくことがあります。
経営コンサルタントと一緒に仕事をし、同人は業界内容に詳しいので、業界の選択肢を魔術師の様にディスカッションします。さすがにそのエリアは私には新しい言葉が沢山あるので、すべてのビジネスモデルを把握することは不可能です。そうしたコンサルもできれば嬉しいですが、それはコンサルには負けますし、負けるのが通常です。学びしかありません。
どこでバリューを出すかといえば、関連者が沢山いて、それらへの説明コストが沢山かかるわけです。忙しい社員がそうした段取りを整えるのも、交渉するのも難しかったりします。一々交渉になり、説明コストが沢山かかるわけです。
私の方は、ビジネスモデルを拝見すると、大体このモデルはフローモデルということは、いずれの段階で方向転換しなければならないということが分かり、コンサルタントが言いにくい言葉をズバズバと言います。いわゆる嫌われ者役を演じます。それは勿論、修羅場で終われば、その際に、自分に降りかかるので火の粉を避ける意味で、その前に事前に防ぐわけです。これを経営と言われると、辛いです。現地にいる人が一番考えているなど当然分かっていますし、それをリスペクトしているのは当然です。しかし、誰か第三者が言うことで、その社内の人が責任を負わない仕組みを作ることができるなら当然、そこで嫌われ役に専念します。周囲の人には、心理的安全性を確保させたうえで、自分だけ汚れ、かつ、議論が円滑に進むように、進めていきます。
一つ一つのコメントは薄氷を踏むようで、いつでも消されても仕方ないと思いつつ、議論に入ります。できるだけ邪魔をせず、できるだけコメントをしないようにしようとするものの、火の粉が降りかかるので、コメントを異なる場でして、良いディスカッションができるように振り向けます。
なぜ、こうした技を持っているかといえば、監査役になったりして、要部のイシューを出すが、取締役の議論を活性化したうえで、あまり深入りしない形の手法を覚えたからです。追い込まないが、気づかせて修正にもっていくことをメインにします。顔は自分以外は潰さず、しかも、会社の利益になることだけに専念する。徐々に、それに専念すれば、分かってくる人もいます。
「助かっています」「洞察のあるコメント」など褒められることがあっても、決して増長してはいけません。大いなる素人であるがゆえに、議論の活性化するという道化師を演じるのです。こうした手法はずっと異業種で色々意見交換したから生まれた技でもあるのですが、一番印象的なのは、宇宙と人工知能との交流会のときです。座長的な役割を演じたのですが、専門用語が宇宙側から沢山出てきて、本当にわからないのです。リモートセンシングという言葉を使うのですが、その専門用語が理解と議論を止めていくパターンが沢山ありました。これでは人工知能側のエンジニアには伝わらないと思い、馬鹿を演じつつ、両者が分かりやすいように変化させていきました。
今回は、暗黙の了解で、専門用語が両方分かる状況で、自分だけ簡単に取り残される可能性はあるのですが、この世の中何とかついていけるものです。これは英語フランス語など理解できない言語を克服していった手法と変わりません。冷や汗をかきながら、「なぜ、この程度の人を選んだか」という言葉を出されることなく、ついていき、自分の得意分野(人の扱い方、人の感情の動き、どのように声をかけるか、どのようにトラブルを避けるか、法律問題の扱い方など)を含めて対応します。
人間がサイロ化して、動かしくなりつつあるところを、小職の厚顔無恥の装いと得意技をあわせることで対応していきます。
この手法は、イノベーションを生むかといえば、若手も言いやすい環境が作ることができ、アイスブレークも作ることができるので、生産性は間違いなく上がっている様子です。
以上が、弁護士が経営に入るなという考え方に疑問を呈する点です。寧ろ、弁護士は自分の考えは述べても良いが、自分の考え方を押し付けるな、相手の考えに賛同し、相手を力づけ、相手にとって一番利益になる形に落とし込むよう尽力せよという考え方に賛同します。