赤坂国際会計事務所

企業再編(事業承継及び買収)を含む報酬設計を担当します

2024.06.24

若手離職と報酬設計:利益率とミッションを軸にした実装論

まず、賃金情報は急速に広がります。結果として、若手は高くて安定した会社を選びます。したがって、放置すれば離職は増えます。

そこで、本稿は採用強化だけに頼らず、利益率とミッションに結びつく報酬設計を示します。あわせて、実装の順序も明確にします。


要約(TL;DR)

  • まず、採用費だけ増やす施策は消耗を招きます。
  • 次に、新人高給は既存層の不公平感を招きます。したがって、全体設計が必要です。
  • 一方で、③のように先に利益率を上げ、報酬とミッションを接続すると持続します。
  • さらに、管理職は業績連動を強め、若手は成長+安定を担保します。
  • 最後に、承継・M&Aではリテンションと移行計画が生命線です。

前提と中心課題

まず、中心課題は若手離職の抑制です。あわせて、利益率と報酬の整合が要点です。

加えて、管理職報酬、承継、海外子会社、M&A、投資家対応が周辺課題です。結果として、制度は横断的に設計する必要があります。

選択肢の整理

① 採用費を増やすが、報酬体系は据え置き

結論として、下策です。なぜなら、採用競争で負けやすく、教育コストが流出するからです。さらに、士気も下がります。

② 報酬体系を変更し、新人に高額報酬を提示

確かに、資金に余力があれば有効です。しかし、既存層の不公平感が障害になります。とりわけ、中間層の離職が加速します。

したがって、若手だけ上げるのではなく、報酬カーブの全体最適が必要です。加えて、成長機会の可視化も欠かせません。

③ 人数を絞り、利益率を先に上げてから拡大

一般に、持続性があります。なぜなら、AIや仕組みで負荷を減らし、原資を先に作れるからです。結果として、再投資が回ります。

さらに、安価な人材頼みを避けられます。むしろ、自社の強みを資産化できます。

②を正解にする条件

  • まず、高職位は業績連動を強化します(現金+株式)。
  • 次に、利益分配ルールを明示します。これにより、恣意性を排除できます。
  • さらに、若手には学習投資と生活安定を提供します。
  • あわせて、ミッション/バリュー/目的を言語化し、制度に埋め込みます。
  • 最後に、オンライン環境と柔軟な働き方を標準化します。

③の実装ポイント(AIと業務設計)

  • まず、AIで定型業務を自動化します。併せて、可視化と標準化を進めます。
  • 次に、高付加価値の新規収益を立てます。具体的には、小さく試し、早く回します。
  • さらに、コスト削減と価格戦略を連動させます。
  • 最後に、得た原資を報酬と育成へ再投資します。結果として、好循環が生まれます。

役員報酬の原則設計

  • まず、短期と長期のインセンティブを分けます。
  • さらに、株式報酬で利害を一致させます。
  • 加えて、ベスティングと保有ガイドラインを設定します。
  • 同時に、解任基準を事前に明確化します。
  • 最後に、規制と開示を守り、投資家の期待に応えます。

海外子会社・M&A・承継の要点

まず、承継は情報管理が肝です。したがって、気付かれる前に味方を確保します。

  • まず、現地で信頼できる人を早期に見つけます。
  • 次に、公認会計士などのガバナンスを先行させます。
  • さらに、キーマンにリテンションを用意します。
  • 最後に、段階的移行で混乱を防ぎます。

一方で、日本本社と現地の方向性がズレる場合があります。そこで、適合人材を選び、一本化を急ぎすぎないことが重要です。

投資家・アクティビスト対応

  • まず、PBR改善には利益率と人的資本開示が重要です。
  • さらに、取締役報酬の業績連動を明確にします。
  • 最後に、報酬の説明責任を果たし、信頼を獲得します。

実行ロードマップ(X-Dayまで)

  • ①軸の特定:まず、バリュー・ミッション・目的を定義します。
  • ②KPI設計:次に、採用基準と評価を結びます。
  • ③人選:さらに、適正人材を密かに特定します。
  • ④社内合意:同時に、内諾を取り、衝撃を和らげます。
  • ⑤リスク管理:あらかじめ、破壊行動の防止策を打ちます。
  • ⑥X-Day実行:そのうえで、入替と移行を計画通りに行います。
  • ⑦移行措置:最後に、教育・権限移譲・フォローを定着させます。

エンゲージメントの鍵

  • まず、上司は部下をケアしつつ、目的達成を支援します。
  • さらに、会社は資格取得や学習へ継続投資します。
  • 加えて、リモートとオンラインを常設します。
  • 最後に、「飲み」依存を避け、時間尊重を徹底します。

次の一手(問いの設計)

では、優先はどちらでしょうか。すなわち、利益率の創出か、報酬カーブの再設計か。いずれにしても、順序で成果は変わります。

必要であれば、御社のKPI案と報酬テーブルの叩き台を、まずは業績連動とRSU前提で作成します。さらに、移行計画のチェックリストも併せてご用意します。

 

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