経営・管理ビザガイド:2025年改正と実務解説
2025.11.10UP!
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- 事業所要件
- 共同経営
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- 財務状況

- 国税:源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税
- 地方税:個人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、個人事業税
外国人経営者の在留資格基準の明確化について
関連資料
- 「経営・管理」の在留資格の明確化等について(PDF)
- 別紙1 地方公共団体が起業支援を行う場合における在留資格「経営・管理」の取扱いについて(PDF)
- 別紙1-1 概要(PDF)
- 別紙1-3 参考様式(記載例)(PDF)
「経営・管理」の在留資格の明確化等について
外国人が我が国において事業を起こし、又は既存の事業の経営又は管理に従事する場合、その活動は「経営・管理」の在留資格に該当することとなりますが、この場合、その前提として、当該外国人が事業の経営又は管理に実質的に参画していること、すなわち、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行っていることが必要となります。
また、同在留資格により本邦に上陸しようとする外国人については、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下「上陸基準省令」という。)の「経営・管理」の項に規定する事業所の確保(存在)及び事業規模等の要件を満たしている必要があります。さらに、在留期間の更新許可申請等においては、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点からも審査を行っているほか、同在留資格で在留する外国人は、関係法令に従って、事業者としての義務を適切に履行する必要もあります。
これらを踏まえ、「経営・管理」に係る在留資格の決定等の運用の明確化及び透明性の向上を図るため、これまで公表してきた「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」(平成17年策定)、「在留資格『経営・管理』の基準の明確化(2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱い)」(平成24年3月策定)及び「地方公共団体が企業支援を行う場合における在留資格『経営・管理』の取扱いについて」(平成30年1月)を取りまとめ、下記の観点における在留資格「経営・管理」に対する基本的な考え方についてガイドラインを示すこととしたものです。
1. 事業所の確保について
上陸基準省令の「経営・管理」の項の1号には、「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」又は「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」とする基準が定められているところ、事業所については、総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項において、次のように規定されています。
- 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
- 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。
以上の二点を満たしている場合には、上陸基準省令の「事業所の確保(存在)」に適合しているものと認められるところ、「経営・管理」の在留資格に係る活動については、事業が継続的に運営されることが求められることから、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、上陸基準省令の要件に適合しているとは認められません。
出入国在留管理庁における上陸基準省令の「経営・管理」の項の1号への適合性の判断においては、事業所が賃貸物件であることが一般的であるところ、当該物件に係る賃貸借契約においてその使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。
なお、インキュベーター(経営アドバイス、企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、上陸基準省令にある「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱うこととします。
2. 2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱いについて
共同で事業を起こした複数の外国人が、役員に就任するような場合は、それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から、その在留資格該当性及び上陸基準適合性を審査することとなります。
冒頭に述べたとおり、「経営・管理」の在留資格に該当するためには、当該外国人が事業の経営又は管理に実質的に参画していること、すなわち、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行っていることが必要であり、役員に就任しているということだけでは、「経営・管理」の在留資格に該当するものとはいえません。
また、複数の外国人が事業の経営又は管理に従事するという場合、それぞれの外国人の活動が「経営・管理」の在留資格に該当するといえるためには、当該事業の規模、業務量、売上等の状況を勘案し、事業の経営又は管理を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。
実際には、従事することとなる具体的な業務の内容、役員として支払われることとされる報酬額等を勘案し、これらの外国人の行う活動が経営又は管理に当たるものであるか否かを判断することとなります。
上記の考え方を更に具体化すると、以下の条件が満たされている場合には、それぞれの外国人全員について、「経営・管理」の在留資格に該当するとの判断が可能といえます。
- 事業の規模や業務量の状況を勘案して、それぞれの外国人が事業の経営又は管理を行うことについて合理的な理由が認められること
- 事業の経営又は管理に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
- それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として報酬額の支払いを受けることとなっていること
3. 事業の継続性について
事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ、当該事業の継続性については、今後の事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要です。しかしながら、実際の場面においては、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点から、赤字決算等が今後の事業活動の継続性に疑問を生ぜしめる場合があり得る反面、通常の企業活動の中でも、諸般の事情により赤字決算となっていても、在留活動の継続性に支障はない場合も想定されます。
よって、事業の継続性については、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから、直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととします。
(1) 直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合
a. 直近期末において欠損金がない場合
直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はありません。また、直近期において当期純損失となったとしても、売上総利益があることを前提とし、剰余金が減少したのみで欠損金が生じないものであれば、必ずしも、当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから、この場合においても事業の継続性を認めることとします。
したがって、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には、事業の継続性があると認めることとします。
b. 直近期末において欠損金がある場合
(ア) 直近期末において債務超過となっていない場合
事業計画、資金調達等の状況により、将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて、原則として事業の継続性があると認めます。ただし、当該資料の内容によっては、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を更に求める場合もあります。
(イ) 直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合
債務超過となった場合、一般的には企業としての信用力が低下し、事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認め難いものですが、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいう。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとします。
具体的には、直近期末において債務超過ですが、直近期前期末では債務超過となっていない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし、当該書面を参考として事業の継続性を判断することとします。
(ウ) 直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合
債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは、事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから、原則として事業の継続性があるとは認められません。
ただし、新興企業(設立5年以内の国内非上場企業をいう。以下同じ。)が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合、設立当初は赤字が続くことも想定されます。そのため、新興企業については、以下の書類の提出を申請人に求めることとし、これら提出書類の内容を踏まえた結果、債務超過となっていることについて合理的な理由があると判断される場合には、事業の継続性について柔軟に判断することとします。
- 中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)
- 投資家やベンチャーキャピタル、銀行等からの投融資、公的支援による補助金や助成金等による資金調達に取り組んでいることを示す書類
- 製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類
(2) 直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合
企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは、通常の企業活動を行っているものとは認められず、仮に営業外損益、特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではありません。単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるところ、二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められません。したがって、この場合には原則として事業の継続性があるとは認められません。
ただし、新興企業が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合、設立当初は赤字が続くことも想定されます。そのため、新興企業については、以下の書類の提出を申請人に求めることとし、これら提出書類の内容を踏まえた結果、売上総利益がない状態となっていることについて合理的な理由があると判断される場合には、事業の継続性について柔軟に判断することとします。
- 中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に売上総利益がない状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)
- 投資家やベンチャーキャピタル、銀行等からの投融資、公的支援による補助金や助成金等による資金調達に取り組んでいることを示す書類(十分な手元流動性があるなど当面の資金調達の必要性がない場合は当該状況を示す書類)
- 製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類
※主な用語の説明
| 用語 | 説明 |
| 直近期 | 直近の決算が確定している期 |
| 直近期前期 | 直近期の一期前の期 |
| 売上総利益(損失) | 純売上高から売上原価を控除した金額 |
| 剰余金 | 法定準備金を含むすべての資本剰余金及び利益剰余金 |
| 欠損金 | 期末未処理損失、繰越損失 |
| 債務超過 | 負債(債務)が資産(財産)を上回った状態(貸借対照表上の「負債の部」の合計が同表の「資産の部」の合計を上回った状態のこと) |
4. 事業者としての義務の履行について
在留資格「経営・管理」で在留する外国人は、事業の運営を適正に行うことが求められるところ、自らの運営する機関(個人事業を含む。以下同じ。)が、次のとおり各種公的義務の履行に関する法令を遵守する必要があります。
(1) 租税関係法令を遵守していること
国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税、事業税等)を適切に納付している必要があります。
納税義務の不履行により刑を受けている場合や、刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。また、消費税の不正受還付等により重加算税賦課決定処分があった機関については、行為の悪質性に鑑み、特に消極的な要素として評価されます。
(2) 労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していること
雇用する従業員(アルバイトを含む。以下同じ。)の労働条件が労働関係法令に適合していることが必要です。また、労働保険の適用事業所である場合は、当該保険の加入手続を適正に行い、保険料を適切に納付していることが求められます。その他、健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合には、当該保険の加入手続を行っていること、及び雇用する従業員の健康保険及び厚生年金保険の資格取得手続を行い、保険料を適切に納付していることが求められます。
これら労働関係法令・社会保険関係法令に適合していないと認められる場合には消極的な要素として評価されます。
5. 有償新株予約権の発行により調達した資金について
上陸基準省令の「経営・管理」の項の第2号ロには、「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること」とする基準が定められているところ、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の出資の総額が3,000万円以上の事業である場合には、上陸基準省令の第2号ロに適合しているものと認められるところです。
この点について、新株予約権の発行による払込金の取扱いについては、以下の1及び2の両方を満たす部分の金額について、上陸基準省令「経営・管理」の項の第2号ロの「3,000万円」に計上することが可能です。
- 新株予約権の発行によって払い込まれた、返済義務のない払込金であること
- 上記1の払込金について、将来、新株予約権が権利行使されることで払込資本となる場合及び権利行使されずに失効し利益となる場合のいずれであっても、資本金として計上することとしていること
なお、上記に係る提出資料としては、以下の書類等が必要となります。
- 新株予約権の発行にあたり締結された投資契約書(J-KISS型新株予約権契約書など)
- 上記ⅰの締結によって実際に払い込まれた額を証明する資料(通帳の写し若しくは取引明細書の写し)
- 上記ⅰの締結によって実際に払い込まれた額のうち、上陸基準省令「経営・管理」の項の第2号ロの「3,000万円」として計上して申請しようとする額について、将来、新株予約権が権利行使された際に資本金として計上することの誓約書等
本邦の大学等を卒業した留学生による起業活動に係る措置について
令和2年7月17日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」等において、外国人留学生による我が国での起業の円滑化を実現すべきことが盛り込まれたことを受け、今般、一定の要件の下に、大学卒業後も継続して起業活動を行う留学生に最長2年間の在留を認めることとしました。
1. 概要
本邦において優秀な留学生の受入れに意欲的に取り組んでいるとされる大学等(※)に在籍中から起業活動を行っていた留学生が卒業後も継続して起業活動を行うことを希望する場合に、下記2(1)の要件を満たすことを前提として、在留資格「特定活動」による最長2年間の在留を認めることとします。
※ 「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校(大学、大学院、短期大学又は高等専門学校)
また、本邦の大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校又は専修学校の専門課程(専門士))を卒業した後に引き続き外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を利用して本邦に在留していたものの、期間内に起業に至らなかった外国人の方についても、下記2(2)の要件を満たすことを前提として、当該事業利用後に新たな措置への移行を認め、当該事業に基づく在留と合わせて最長2年間の在留を認めることとします。
2. 要件
(1) 本邦の大学等を卒業後直ちに本制度を利用する場合
- 申請人が本邦において優秀な外国人留学生の受入れに意欲的に取り組んでいるとされる「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校(大学、大学院、短期大学又は高等専門学校)を卒業又は修了していること。 ※対象校は以下のリンク先から確認してください。 留学生就職促進プログラム:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1394574.htm スーパーグローバル大学創成支援事業:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/sekaitenkai/1360288.htm
- 申請人が上記1.の大学等に在学中から起業活動を行っていたこと。
- 上記1.の大学等が、申請人が起業活動を行うことについて推薦すること。
- 上記1.の大学等が、申請人の起業活動について支援をすること。
- 申請人が起業活動の状況を上記1.の大学等に報告すること。
- 上記1.の大学等が申請人の起業活動の継続が困難になった場合等に帰国指導・支援を行うこと。
注: 要件2.~6.については、上記1.の大学等から提出された誓約書(参考様式1)をもって判断します。
(2) 外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業の利用後に本制度を利用する場合
- 申請人が本邦の大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校又は専修学校の専門課程(専門士))を卒業又は修了したこと。
- 申請人が上記1.の大学等を卒業又は修了後、引き続き外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業をもって本邦に在留していた者であること。
- 申請人が外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を活用したものの起業に至らず、その後、引き続き本邦に在留して起業活動を継続しようとする者であること。
- 新たな措置への移行に際して、外国人起業活動促進事業における外国人起業活動促進団体(地方公共団体)又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業における関係地方公共団体が上記3.の起業に至らなかった理由について合理的な説明を行い、かつ、今後起業を行うことの確実性が高いことの評価を行うこと。
- 上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等が、申請人が起業活動を行うことについて推薦すること。
- 上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等が、申請人の起業活動について支援をすること。
- 申請人が起業活動の状況を上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等に報告すること。
注: 要件3.~4.については、上記4.の地方公共団体から提出された評価書(参考様式2)をもって判断します。 注: 要件5.~7.については、上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等から提出された誓約書(参考様式3)をもって判断します。上記(1)の場合の誓約書とフォーマットが異なるためご注意ください。
3. 提出資料
こちらのページからご確認ください。
4. 本措置に係る留意点について
本措置により認められる在留期間は最長2年間であり、この間に起業活動を完了する必要があります。起業活動が完了した際には、「経営・管理」への在留資格変更許可申請を行ってください。
5. 本措置に係る留意点について
本措置の適用を受ける外国人の扶養を受ける家族(配偶者、子)が引き続き本邦での在留を希望するときは、「特定活動」への在留資格変更許可申請を行う必要があります。当該申請に必要な資料は「家族滞在」の在留期間更新許可申請時と同様です。
最終更新:2025年11月 | 【出入国在留管理庁】ガイドライン準拠
はじめに: 在留資格「経営・管理」の重要性
外国人が日本で事業を起こす、または経営に参画する際に「経営・管理」の在留資格が必要です。しかし、その要件は複雑です。特に「事業所の確保」「財務状況による継続性判断」「複数外国人による共同経営」の3点で、申請者が誤解しやすいポイントが多数存在します。 本記事では、出入国在留管理庁が公表しているガイドラインを実務的な視点から解説します。具体的なケーススタディとチェックリストも提供します。
在留資格「経営・管理」の事業所要件(Part 1)
結論から言うと、バーチャルオフィスや短期賃貸スペースは、事業所として認められません。事業所として入管が認めるには、日本標準産業分類の定義に基づき、以下の2つの条件を両方満たす必要があります。
- 一定の場所の占有: 単一経営主体による一区画の確保
- 継続的な事業活動: 人員・設備を有する継続的な生産・サービス提供
❌ 入管が認めない事業所の事例
以下の形態は、原則として在留資格「経営・管理」の要件を満たしません。
✅ 賃貸物件を利用する場合の必須条件
- 使用目的の明記: 賃貸借契約書に「事業用」「店舗」「事務所」等の記載
- 契約者名義: 法人名義または代表者個人名義(個人事業の場合)
- 実際の使用: 書類上の契約だけでなく、実際に事業活動を行っている証明
⭐ 例外:インキュベーターオフィスの特例
以下のケースでは、例外的に事業所として認められる場合があります。 認められるケース:
- JETRO対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)
- 自治体や政府系機関が運営する起業支援オフィス
- 正式なインキュベーションプログラムの一環として提供される一時的オフィス
条件:
- インキュベーターからの「使用承諾書」の提出
- 起業支援を目的とした一時的貸与であることの証明
実務アドバイス
起業初期でコスト削減のためシェアオフィスを検討する場合は、「登記のみ」プランではなく、専用デスクを含む実体的な利用契約を締結してください。審査では、実際に事業活動が行われているかが重視されます。
在留資格「経営・管理」と共同経営(Part 2)
結論として、複数の外国人が共同経営者として「経営・管理」ビザを取得することは可能です。ただし、「役員に就任すれば自動的にビザが取れる」というのは誤りです。全員が許可されるには、実質的な経営参画と以下の3つの条件が必要です。
① 合理性: 複数人が必要な事業規模か
審査のポイント:
- 事業の規模・業務量・売上高
- 各役員が担当する業務の専門性
具体例:
- ✅ IT企業で「技術担当CTO」と「営業担当COO」が明確に分離
- ✅ 飲食チェーン展開で店舗管理を分担する必要性
- ❌ 売上500万円の小規模事業に3名の「代表取締役」
② 業務の明確化: 各自の役割が具体的か
提出が必要な資料:
- 組織図と各役員の担当領域
- 職務分掌規程
- 取締役会議事録(意思決定への関与の証明)
NGパターン:
- 「共同代表」だが実際の業務内容が不明確
- 名目上の役員で、実質的な決裁権限がない
③ 報酬の支払い: 経営者としての対価
基準:
- 各役員に対して月額での報酬支払い
- 金額は業務量・責任に見合った水準
注意点:
- 無報酬や著しく低額(月額10万円未満等)の場合、実質的な経営参画が疑われます
- 成果報酬のみ(固定給なし)も不適切と判断されるリスクがあります
ケーススタディ: 共同創業の判断事例
AI開発スタートアップ、資本金1000万円、従業員5名
- 創業者A(米国籍): CEO、技術開発・製品戦略 → 月額50万円
- 創業者B(インド籍): CTO、エンジニアリング統括 → 月額50万円
判断: 技術と経営で明確な役割分担があり、報酬も適切です。 → ✅両名とも許可の可能性が高いと判断されます。
在留資格「経営・管理」の更新と財務状況(Part 3)
はい、赤字決算でも「経営・管理」ビザの更新が許可される可能性は十分にあります。「赤字=即不許可」ではありません。入管は直近2期分の決算書を見て、事業継続の見込みを総合的に判断します。
📊 判断フローチャート
直近2期のどちらかで売上総利益があるか? │ ├─ YES → 【パターンA群】へ │ └─ NO → 【パターンB】2期連続で売上総利益なし └→ 原則不許可 (新興企業は例外あり)
【パターンA-1】直近期末に欠損金がない
✅ 更新可能なケース
- 直近期に当期純利益があり、剰余金がある
- 直近期に当期純損失でも、剰余金が残っている(欠損金が発生していない)
必要書類: 通常の決算書のみ 実例:
- 前期: 純利益500万円、剰余金1000万円
- 直近期: 純損失200万円、剰余金800万円
- → ✅ 問題なし(売上総利益があり、欠損金未発生)
【パターンA-2】直近期末に欠損金がある
(ⅰ) 債務超過ではない場合
判断: 原則として継続性ありと判断されます。 追加提出書類:
- 今後1年間の事業計画書
- 予想収支計算書
注意: 内容によっては中小企業診断士・公認会計士の評価書を追加で求められる場合があります。
(ⅱ) 債務超過だが、1年前は債務超過ではなかった
判断: 条件付きで継続性を認めます。 必須提出書類:
- 中小企業診断士・公認会計士の評価書
- 「1年以内に債務超過が解消される見通し」を含む
- 評価の根拠となる理由の記載必須
実例:
- 前期末: 資産1億円、負債8000万円(純資産2000万円)
- 直近期末: 資産8000万円、負債9000万円(▲1000万円)
- → 評価書により「設備投資の回収により1年以内に改善」が認められれば可能性はある✅
(ⅲ) 2期連続で債務超過
原則: 継続性なし → ❌更新不可 例外: 新興企業(設立5年以内)の特例 以下の3点セットを提出すれば、柔軟に判断する可能性があります。
- 専門家評価書 (中小企業診断士・公認会計士)
- 1年以内の改善見通しを含む
- 資金調達の証明書類
- VC・エンジェル投資家からの出資契約
- 銀行融資の契約書
- NEDO・JSTなど公的補助金の交付決定通知
- ※手元流動性が十分な場合は、その状況を示す資料
- 成長への取組み証明
- 製品開発のマイルストーン達成状況
- 顧客獲得実績(契約書・LOI等)
- 特許出願・技術評価の資料
成功事例: バイオテック企業(設立3年目)、2期連続債務超過(累積▲5000万円)
- VCから3億円の資金調達完了
- 新薬候補の前臨床試験成功
- 大手製薬会社との共同研究契約締結
- → ✅「合理的な理由」が認められ更新許可の可能性
【パターンB】2期連続で売上総利益なし
原則: 継続性なし → ❌更新不可 理由: 本業で稼げていない(=企業として機能していない)と判断されます。 例外: 新興企業の特例 パターンA-2(ⅲ)と同じ「3点セット」の提出により、柔軟判断の可能性があります。 典型例:
- AI研究開発企業で製品化前(売上ゼロ)
- 大学発ベンチャーで臨床試験段階
💡 実務上の重要ポイント: 用語の理解
審査で使われる用語を正確に理解しておきましょう。
- 売上総利益
- 売上高 − 売上原価(粗利)
- 剰余金
- 資本剰余金 + 利益剰余金(利益準備金を含む)
- 欠損金
- 繰越損失
- 債務超過
- 負債 > 資産 (貸借対照表で純資産がマイナス)
- 「直近期」の定義
- 申請時点で決算が確定している最新の期。決算後すぐに申請する場合、会計監査・株主総会承認が完了していることが前提です。
在留資格「経営・管理」とコンプライアンス(Part 4)
「経営・管理」の在留資格審査では、財務状況だけでなく、事業者としての法令遵守(コンプライアンス)も厳格に審査します。
✅ 税務関係のチェックリスト
- 法人税・所得税の納付済み
- 消費税の納付済み
- 源泉徴収税の納付済み
- 住民税・事業税の納付済み
⚠️ 特に注意:
- 消費税の不正還付で重加算税 → 極めて消極的評価(ほぼ不許可)
- 高額・長期の滞納 → 刑事罰の有無に関わらず不許可リスク
✅ 労働・社会保険関係のチェックリスト
労働条件の適正性
- 労働契約書の整備
- 最低賃金の遵守
- 労働時間・休日の法定基準遵守
- 外国人従業員の就労資格確認
労働保険
- 労災保険の加入(従業員1名以上)
- 雇用保険の加入(条件を満たす従業員)
- 保険料の納付
社会保険
- 健康保険・厚生年金保険の適用事業所届出
- 従業員の資格取得手続
- 保険料の納付
実務上のトラブル事例:
- アルバイト従業員の社会保険未加入 → 更新時に指摘され、遡及加入を求められます
- 役員報酬を支払っていないのに社会保険未加入 → 「実質的な経営者ではない」と判断されるリスク
在留資格「経営・管理」と資金調達(Part 5)
2025年の改正により、スタートアップの資金調達手法であるJ-KISS型新株予約権等が、一定条件下で資本金「3000万円要件」にカウント可能になりました。
認められる条件 (両方必須)
- 返済義務のない払込金であること
- 借入金や転換社債型(CB)は不可
- 将来の資本金計上が確約されていること
- 権利行失されれば資本金に
- 失効すれば利益として計上
- いずれの場合も資本金として扱う旨の誓約
必要書類
- ① 投資契約書
- J-KISS型新株予約権契約書等の原本
- ② 払込証明
- 通帳コピーまたは取引明細書
- ③ 誓約書
- 将来の権利行使時に資本金計上する旨の代表者による誓約
- その他
- その他必要な書面を求める場合があります。
実例: J-KISS型新株予約権の活用
シード期スタートアップの資金調達
- 資本金: 300万円 (創業者出資)
- J-KISS型新株予約権発行: 2700万円 (エンジェル投資家)
- 合計: 3000万円
申請のポイント:
- 投資契約書で「将来の株式転換」が明記されている
- 払込金2700万円が実際に入金されている証明
- 「転換時または失効時に資本金計上する」旨の取締役会決議+誓約書
→ ✅「3000万円要件」を満たすと判断されます。
まとめ: 申請前の最終チェックポイント
新規申請(日本で起業する場合)
- 事業所: 実体のある賃貸契約(月単位の短期ではない)
- 資本金: 3000万円以上、または常勤従業員1名以上確保(※2025年改正)
- 事業計画: 実現可能性のある具体的プラン(※専門家の確認必須)
- 経営参画: 実質的な意思決定権限があるか
- 経歴: 経営管理の学位または3年以上の実務経験(※2025年改正)
- 日本語能力: 申請者または常勤職員がN2相当以上(※2025年改正)
更新申請(既に在留中の場合)
- 財務: 直近2期の決算状況を上記フローで確認
- 税務: 全ての納税義務を履行済み
- 労務: 社会保険・労働保険の加入・納付済み
- 事業実態: 登記住所で実際に事業活動を行っている
Q1: 個人事業主でも「経営・管理」ビザは取得できますか? A: 可能です。ただし、法人と同様に、事業所の要件(賃貸契約で事業用明記)、3000万円要件、継続性の要件はすべて適用されます。立証の難度は高くおすすめはしません。2025年改正により、申請者または常勤職員の日本語能力(N2相当)、申請者の経歴要件(学位または実務経験)、専門家による事業計画書の確認が必須となりました。
Q2: 共同創業で一方が日本人、もう一方が外国人の場合は? A: 外国人の役割が「実質的な経営参画」であれば許可されます。ただし、日本人が実質的経営者で外国人が名目上の役員の場合は不許可となります。
Q3: 赤字でも更新できると聞きましたが、何年まで大丈夫ですか? A: 期限について明確な基準はありません。上記フローチャートに従い、売上総利益の有無、債務超過の状況、新興企業か否かで入管が個別判断します。
Q4: 中小企業診断士や公認会計士の評価書は必ず必要ですか? A: 債務超過の場合は必須です。債務超過でなくても、事業計画の内容次第で追加提出を求められることがあります。2025年改正により、新規申請時の事業計画書には専門家の確認が必須となりました。
以下は記載内容です:
在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について
在留資格「経営・管理」に係る「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(平成二年法務省令第十六号)」及び「出入国管理及び難民認定法施行規則(昭和五十六年法務省令第五十四号)」の一部が改正され、令和7年10月16日に施行されます。
関連資料
主な改正内容
1. 常勤職員の雇用について
申請者が営む会社等において、1人以上の常勤職員を雇用することが必要になります(出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令「法別表第一の二の表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動」第2号イ)。
注:「常勤職員」の対象は、日本人、特別永住者及び法別表第二の在留資格をもって在留する外国人(「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」)に限り、法別表第一の在留資格をもって在留する外国人は対象となりません。
2. 資本金の額等について
3,000万円以上の資本金等が必要になります(第2号ロ)。
注:
- 事業主体が法人である場合: 株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の出資の総額をさします。
- 事業主体が個人である場合: 事業所の確保や雇用する職員の給与(1年間分)、設備投資経費など事業を営むために必要なものとして投下されている総額をさします。
3. 日本語能力について
申請者又は常勤職員(注1)のいずれかが相当程度の日本語能力(注2)を有することが必要になります(第3号)。
注1: ここで言う「常勤職員」の対象には、法別表第一の在留資格をもって在留する外国人も含まれます。
注2: 相当程度の日本語能力とは、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力であり、日本人又は特別永住者の方以外については、以下のいずれかに該当することを確認します。
- 公益財団法人日本国際教育支援協会及び独立行政法人国際交流基金が実施する日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定を受けていること
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上取得していること
- 中長期在留者として20年以上我が国に在留していること
- 我が国の大学等高等教育機関を卒業していること
- 我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること
4. 経歴(学歴・職歴)について
申請者が、経営管理又は申請に係る事業の業務に必要な技術又は知識に係る分野に関する博士、修士若しくは専門職の学位(注1)を取得していること、又は、事業の経営又は管理について3年以上の経験(注2)を有する必要があります(第4号)。
注1: 外国において授与されたこれに相当する学位を含みます。
注2: 在留資格「特定活動」に基づく、貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動(起業準備活動)の期間を含みます。
5. 事業計画書の取扱いについて
在留資格決定時において提出する事業計画書について、その計画に具体性、合理性が認められ、かつ、実現可能なものであるかを評価するものとして、経営に関する専門的な知識を有する者(注)の確認を義務付けます(出入国管理及び難民認定法施行規則別表第三「法別表第一の二の表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動」第1号イ)。
注: 施行日時点においては、以下の者が当該者に該当します。
- 中小企業診断士
- 公認会計士
- 税理士
なお、弁護士及び行政書士以外の方が、官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがありますので御留意願います。
申請に関する取扱い
1. 事業内容について
業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、在留資格「経営・管理」に該当する活動を行うとは認められないものとして取り扱います。
2. 事業所について
改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があることから、自宅を事業所と兼ねることは、原則として認められません。
3. 永住許可申請等について
施行日後、改正後の許可基準に適合していない場合は、「経営・管理」、「高度専門職1号ハ」又は「高度専門職2号」(「経営・管理」活動を前提とするもの)からの永住許可及び「高度専門職1号ハ」から「高度専門職2号」への在留資格変更許可は認められません。
4. 在留中の出国について
在留期間中、正当な理由なく長期間の出国を行っていた場合は、本邦における活動実態がないものとして在留期間更新許可は認められません。
5. 公租公課の履行について
在留期間更新時には、以下の公租公課の支払義務の履行状況を確認します。
(1) 労働保険の適用状況
- 雇用保険の被保険者資格取得の履行
- 雇用保険の保険料納付の履行
- 労災保険の適用手続等の状況
(2) 社会保険適用状況
- 健康保険及び厚生年金保険の被保険者資格取得の履行
- 上記社会保険料納付の履行
(3) 事業所として納付すべき以下の国税・地方税に係る納付状況
法人の場合
- 国税:源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税
- 地方税:法人住民税、法人事業税
個人事業主の場合
- 国税:源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税
- 地方税:個人住民税、個人事業税
6. 事業を営むために必要な許認可の取得について
申請者が営む事業に係る必要な許認可の取得状況等を証する資料の提出を求めます。
注: 在留許可を受けてからでないと許認可の取得ができないなど、正当な理由が認められる場合には、次回の在留期間更新申請時に提出を求めます。
施行に伴う留意点
1. 施行日前に受け付けた申請について
本改正省令の施行日の前日までに受付し、審査を継続している在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請等については改正前の許可基準を適用します。
2. 既に「経営・管理」等で在留中の方からの在留期間更新許可申請について
- 既に「経営・管理」で在留中の方が施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間に在留期間更新許可申請を行う場合については、改正後の基準に適合しない場合であっても、経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断を行います。 なお、審査においては、経営に関する専門家の評価を受けた文書を提出いただくことがあります。
- 施行日から3年を経過した後になされた在留期間更新許可申請については、改正後の基準に適合する必要があります。 注: 改正後の基準に適合しない場合であっても、経営状況が良好であり、法人税等の納付義務を適切に履行しており、次回更新申請時までに新基準を満たす見込みがあるときは、その他の在留状況を総合的に考慮し、許否判断を行います。
- 「高度専門職1号ハ」(「経営・管理」活動を前提とするもの)についても、「経営・管理」の許可基準を満たすことが前提となることから、上記と同様に取り扱います。
3. 「特定活動」から「経営・管理」への在留資格変更許可申請の取扱いについて
特定活動(44号・外国人起業家(スタートアップビザ))からの資格変更
- 外国人起業活動促進事業に関する告示の一部を改正する告示の施行日前に確認証明書が交付されている場合は、「経営・管理」への在留資格変更許可申請の際に、改正前の許可基準を適用します。
- 改正告示の施行日以降に確認証明書が交付されている場合は、「経営・管理」への在留資格変更許可申請の際に、改正後の許可基準を適用します。
特定活動(51号・未来創造人材(起業準備活動))からの資格変更
- 施行日前日時点で、「特定活動(51号)」の在留資格認定証明書交付申請等を行っている場合や同在留資格で在留中の場合は、「経営・管理」への在留資格変更許可申請の際に、改正前の許可基準を適用します。
- 施行日以降に「特定活動(51号)」に係る在留資格認定証明書交付申請等を行った場合は、「経営・管理」への在留資格変更許可申請の際に、改正後の許可基準を適用します。
Q&A
問1 新たに雇用が義務付けられる「常勤の職員」について、どのような人を雇用すればよいのですか?
答: 許可基準である「常勤の職員」の対象は、日本人、特別永住者及び法別表第二の在留資格をもって在留する外国人(「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」)に限られます。法別表第一の在留資格をもって在留する外国人は対象になりません。
問2 資本金等の事業の規模はどのように確認するのですか?
答: 登記事項証明書等により、経営する事業の規模が3,000万円以上の事業の規模であるか確認します。 具体的には、事業主体が法人である場合は、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の出資の総額を確認し、事業主体が個人である場合は、事業所の確保や雇用する職員の給与(1年間分)、設備投資経費など事業を営むために必要なものとして投下されている総額を確認します。
問3 日本語能力は、どの程度の能力が必要ですか? また、どのように証明するのですか?
答: 「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力が必要です。 具体的には、日本人又は特別永住者の方以外については、以下のいずれかを満たすことが求められます。
- 公益財団法人日本国際教育支援協会及び国際交流基金が実施する日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定を受けていること
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上取得していること
- 中長期在留者として20年以上我が国に在留していること
- 我が国の大学等高等教育機関を卒業していること
- 我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること
試験により証明する場合は試験の合格証や成績証明書、その他の方法により証明する場合は日本語能力を有する者の身分及び経歴を証する資料(住民票、卒業証明書等)を提出して証明してください。 なお、申請書(所属機関作成用1)3(11)に日本語能力を有する者の有無及びその内容を記入いただきますが、「内容」欄には、「日本人を雇用している」、「経営者(申請人)が日本語能力N2以上の認定を受けている」など、具体的に記入してください。
問4 事業計画を確認する専門家は、具体的にどのような人ですか?
答: 企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する方を想定しており、施行日時点においては、中小企業診断士、公認会計士及び税理士が該当します。 なお、施行後に対象者が変更になる場合は、HPにおいてお知らせします。
問5 在留期間の更新をするときに必要な書類を教えてください。
答: 所属機関の登記事項証明書(所属機関が法人の場合)や所属機関における公租公課の支払い義務の履行状況を明らかにする資料等が必要になります。 詳しくは、こちら(在留資格「経営・管理」案内ページ)を確認してください。
問6 事業活動に必要な許認可が、「経営・管理」の在留許可を受けてからでないと取得できないときは、どうすれば良いですか?
答: あらかじめ取得できないことに正当な理由があると認められる場合には、次回の在留期間更新許可申請時に取得状況を確認することになるため、取得できない具体的理由を説明した文書(様式自由)を提出してください。
問7 上陸基準省令が改正される前に「経営・管理」の申請をしましたが、新基準が適用されてしまうのですか。
答: 本改正省令の施行日の前日までに受付し、審査を継続している在留資格認定証明書交付申請や在留期間更新許可申請等については改正前の許可基準を適用します。 ただし、改正前の許可基準の適用により許可処分となった場合であっても、施行日から3年を経過した後は改正後の許可基準を満たす必要がありますので、十分に留意してください。
問8 「経営・管理」で在留していて、もうすぐ在留期間の更新が必要ですが、更新申請までに基準を満たせないときはどうすれば良いですか?
答: 施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間については、改正後の基準に適合していない場合であっても、経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえ許否判断を行います。
問9 現在、外国人起業活動促進事業(スタートアップビザ)を利用して認定団体から確認証明書の交付を受け、「特定活動(44号)」で在留中です。「特定活動」から「経営・管理」に在留資格の変更をするときは、新基準が適用されてしまうのですか。
答: 外国人起業活動促進事業に関する告示の一部を改正する告示(令和七年経済産業省告示第百二十四号)の施行日より前(2025年10月15日以前)に確認証明書の交付を受けて「特定活動(44号)」で在留している方からの在留資格変更許可申請については、改正前の許可基準を適用します。 また、上記の手続を経て「経営・管理」で在留する方からの在留期間更新許可申請については、既に「経営・管理」で在留している方と同様に、施行日から3年を経過する日(令和10年10月16日)までの間については、改正後の基準に適合していない場合であっても、経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえ許否判断を行います。
問10 経営者としての活動実態が十分に認められない場合とは具体的にどのようなケースが想定されますか。
答: 例えば、業務の大半を外部に委託し、日常的に申請人本人による経営活動を行っていない場合や具体的な事業内容や財務状況など経営者として本来把握すべき情報を把握していない場合などが想定されます。
問11 正当な理由なく長期間の出国を行っている場合に関して、具体的な目安はありますか。
答: 個々の在留状況に応じて判断することになりますが、一般論としては、決定された在留期間のうち、累計でその過半を超える期間について、再入国許可による出国(みなし再入国許可による出国を含む。)をしている場合には、正当な理由があるときを除き、在留期間更新に係る審査において消極的な要素として評価されることになります。
問12 在留期間更新許可申請時に確認される「納付すべき税目」の内訳について教えてください。
答: 事業所として納付すべき以下の国税・地方税に係る納付状況を確認します。
法人の場合
- 国税:源泉所得税及び復興特別所得税、法人税、消費税及び地方消費税
- 地方税:法人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、法人事業税
個人事業主の場合
- 国税:源泉所得税及び復興特別所得税、申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税、相続税、贈与税
- 地方税:個人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、個人事業税
外国人経営者の在留資格基準の明確化について
関連資料
- 「経営・管理」の在留資格の明確化等について(PDF)
- 別紙1 地方公共団体が起業支援を行う場合における在留資格「経営・管理」の取扱いについて(PDF)
- 別紙1-1 概要(PDF)
- 別紙1-3 参考様式(記載例)(PDF)
「経営・管理」の在留資格の明確化等について
外国人が我が国において事業を起こし、又は既存の事業の経営又は管理に従事する場合、その活動は「経営・管理」の在留資格に該当することとなりますが、この場合、その前提として、当該外国人が事業の経営又は管理に実質的に参画していること、すなわち、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行っていることが必要となります。
また、同在留資格により本邦に上陸しようとする外国人については、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令(以下「上陸基準省令」という。)の「経営・管理」の項に規定する事業所の確保(存在)及び事業規模等の要件を満たしている必要があります。さらに、在留期間の更新許可申請等においては、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点からも審査を行っているほか、同在留資格で在留する外国人は、関係法令に従って、事業者としての義務を適切に履行する必要もあります。
これらを踏まえ、「経営・管理」に係る在留資格の決定等の運用の明確化及び透明性の向上を図るため、これまで公表してきた「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」(平成17年策定)、「在留資格『経営・管理』の基準の明確化(2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱い)」(平成24年3月策定)及び「地方公共団体が企業支援を行う場合における在留資格『経営・管理』の取扱いについて」(平成30年1月)を取りまとめ、下記の観点における在留資格「経営・管理」に対する基本的な考え方についてガイドラインを示すこととしたものです。
1. 事業所の確保について
上陸基準省令の「経営・管理」の項の1号には、「事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること」又は「事業を営むための事業所が本邦に存在すること」とする基準が定められているところ、事業所については、総務省が定める日本標準産業分類一般原則第二項において、次のように規定されています。
- 経済活動が単一の経営主体のもとにおいて一定の場所すなわち一区画を占めて行われていること。
- 財貨及びサービスの生産又は提供が、人及び設備を有して、継続的に行われていること。
以上の二点を満たしている場合には、上陸基準省令の「事業所の確保(存在)」に適合しているものと認められるところ、「経営・管理」の在留資格に係る活動については、事業が継続的に運営されることが求められることから、月単位の短期間賃貸スペース等を利用したり、容易に処分可能な屋台等を利用したりする場合には、上陸基準省令の要件に適合しているとは認められません。
出入国在留管理庁における上陸基準省令の「経営・管理」の項の1号への適合性の判断においては、事業所が賃貸物件であることが一般的であるところ、当該物件に係る賃貸借契約においてその使用目的が事業用、店舗、事務所等事業目的であることを明らかにし、賃貸借契約者についても当該法人等の名義とし、当該法人等による使用であることを明確にすることが必要です。
なお、インキュベーター(経営アドバイス、企業運営に必要なビジネスサービス等への橋渡しを行う団体・組織)が支援している場合で、申請人から当該事業所に係る使用承諾書等の提出があったときは、(独)日本貿易振興機構(JETRO)対日投資ビジネスサポートセンター(IBSC)その他インキュベーションオフィス等の一時的な住所又は事業所であって、起業支援を目的に一時的に事業用オフィスとして貸与されているものの確保をもって、上陸基準省令にある「事業所の確保(存在)」の要件に適合しているものとして取り扱うこととします。
2. 2名以上の外国人が共同で事業を経営する場合の取扱いについて
共同で事業を起こした複数の外国人が、役員に就任するような場合は、それぞれの外国人が従事しようとする具体的な活動の内容から、その在留資格該当性及び上陸基準適合性を審査することとなります。
冒頭に述べたとおり、「経営・管理」の在留資格に該当するためには、当該外国人が事業の経営又は管理に実質的に参画していること、すなわち、事業の運営に関する重要事項の決定、事業の執行又は監査の業務に従事する活動を行っていることが必要であり、役員に就任しているということだけでは、「経営・管理」の在留資格に該当するものとはいえません。
また、複数の外国人が事業の経営又は管理に従事するという場合、それぞれの外国人の活動が「経営・管理」の在留資格に該当するといえるためには、当該事業の規模、業務量、売上等の状況を勘案し、事業の経営又は管理を複数の外国人が行う合理的な理由があるものと認められる必要があります。
実際には、従事することとなる具体的な業務の内容、役員として支払われることとされる報酬額等を勘案し、これらの外国人の行う活動が経営又は管理に当たるものであるか否かを判断することとなります。
上記の考え方を更に具体化すると、以下の条件が満たされている場合には、それぞれの外国人全員について、「経営・管理」の在留資格に該当するとの判断が可能といえます。
- 事業の規模や業務量の状況を勘案して、それぞれの外国人が事業の経営又は管理を行うことについて合理的な理由が認められること
- 事業の経営又は管理に係る業務について、それぞれの外国人ごとに従事することとなる業務の内容が明確になっていること
- それぞれの外国人が経営又は管理に係る業務の対価として報酬額の支払いを受けることとなっていること
3. 事業の継続性について
事業活動においては様々な要因で赤字決算となり得るところ、当該事業の継続性については、今後の事業活動が確実に行われることが見込まれることが必要です。しかしながら、実際の場面においては、当該事業の経営・管理という在留活動を継続して行うことができるかという観点から、赤字決算等が今後の事業活動の継続性に疑問を生ぜしめる場合があり得る反面、通常の企業活動の中でも、諸般の事情により赤字決算となっていても、在留活動の継続性に支障はない場合も想定されます。
よって、事業の継続性については、単年度の決算状況を重視するのではなく、貸借状況等も含めて総合的に判断することが必要であることから、直近二期の決算状況により次のとおり取り扱うこととします。
(1) 直近期又は直近期前期において売上総利益がある場合
a. 直近期末において欠損金がない場合
直近期において当期純利益があり同期末において剰余金がある場合には、事業の継続性に問題はありません。また、直近期において当期純損失となったとしても、売上総利益があることを前提とし、剰余金が減少したのみで欠損金が生じないものであれば、必ずしも、当該事業を継続する上で重大な影響を及ぼすとまでは認められないことから、この場合においても事業の継続性を認めることとします。
したがって、直近期末において剰余金がある場合又は剰余金も欠損金もない場合には、事業の継続性があると認めることとします。
b. 直近期末において欠損金がある場合
(ア) 直近期末において債務超過となっていない場合
事業計画、資金調達等の状況により、将来にわたって事業の継続が見込まれる可能性を考慮し、今後1年間の事業計画書及び予想収益を示した資料の提出を求めることとし、事業が行われていることに疑義があるなどの場合を除いて、原則として事業の継続性があると認めます。ただし、当該資料の内容によっては、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を更に求める場合もあります。
(イ) 直近期末において債務超過であるが、直近期前期末では債務超過となっていない場合
債務超過となった場合、一般的には企業としての信用力が低下し、事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから、事業の継続性を認め難いものですが、債務超過が1年以上継続していない場合に限り、1年以内に具体的な改善(債務超過の状態でなくなることをいう。)の見通しがあることを前提として事業の継続性を認めることとします。
具体的には、直近期末において債務超過ですが、直近期前期末では債務超過となっていない場合には、中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)の提出を申請者に求めることとし、当該書面を参考として事業の継続性を判断することとします。
(ウ) 直近期末及び直近期前期末ともに債務超過である場合
債務超過となって1年以上経過しても債務超過の状態でなくならなかったときは、事業の存続について厳しい財務状況が続いていること及び1年間での十分な改善がなされていないことから、原則として事業の継続性があるとは認められません。
ただし、新興企業(設立5年以内の国内非上場企業をいう。以下同じ。)が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合、設立当初は赤字が続くことも想定されます。そのため、新興企業については、以下の書類の提出を申請人に求めることとし、これら提出書類の内容を踏まえた結果、債務超過となっていることについて合理的な理由があると判断される場合には、事業の継続性について柔軟に判断することとします。
- 中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に債務超過の状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)
- 投資家やベンチャーキャピタル、銀行等からの投融資、公的支援による補助金や助成金等による資金調達に取り組んでいることを示す書類
- 製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類
(2) 直近期及び直近期前期において共に売上総利益がない場合
企業の主たる業務において売上高が売上原価を下回るということは、通常の企業活動を行っているものとは認められず、仮に営業外損益、特別損益により利益を確保したとしても、それが本来の業務から生じているものではありません。単期に特別な事情から売上総利益がない場合があることも想定されるところ、二期連続して売上総利益がないということは当該企業が主たる業務を継続的に行える能力を有しているとは認められません。したがって、この場合には原則として事業の継続性があるとは認められません。
ただし、新興企業が独自性のある技術やサービス、新しいビジネスモデル等に基づき事業を成長させようとする場合、設立当初は赤字が続くことも想定されます。そのため、新興企業については、以下の書類の提出を申請人に求めることとし、これら提出書類の内容を踏まえた結果、売上総利益がない状態となっていることについて合理的な理由があると判断される場合には、事業の継続性について柔軟に判断することとします。
- 中小企業診断士や公認会計士等の企業評価を行う能力を有すると認められる公的資格を有する第三者が、改善の見通し(1年以内に売上総利益がない状態でなくなることの見通しを含む。)について評価を行った書面(評価の根拠となる理由が記載されているものに限る。)
- 投資家やベンチャーキャピタル、銀行等からの投融資、公的支援による補助金や助成金等による資金調達に取り組んでいることを示す書類(十分な手元流動性があるなど当面の資金調達の必要性がない場合は当該状況を示す書類)
- 製品・サービスの開発や顧客基盤の拡大等に取り組んでいることを示す書類
※主な用語の説明
| 用語 | 説明 |
| 直近期 | 直近の決算が確定している期 |
| 直近期前期 | 直近期の一期前の期 |
| 売上総利益(損失) | 純売上高から売上原価を控除した金額 |
| 剰余金 | 法定準備金を含むすべての資本剰余金及び利益剰余金 |
| 欠損金 | 期末未処理損失、繰越損失 |
| 債務超過 | 負債(債務)が資産(財産)を上回った状態(貸借対照表上の「負債の部」の合計が同表の「資産の部」の合計を上回った状態のこと) |
4. 事業者としての義務の履行について
在留資格「経営・管理」で在留する外国人は、事業の運営を適正に行うことが求められるところ、自らの運営する機関(個人事業を含む。以下同じ。)が、次のとおり各種公的義務の履行に関する法令を遵守する必要があります。
(1) 租税関係法令を遵守していること
国税(所得税、法人税等)及び地方税(住民税、事業税等)を適切に納付している必要があります。
納税義務の不履行により刑を受けている場合や、刑を受けていなくても高額の未納や長期間の未納などが判明した場合等、納税義務を履行していない場合には消極的な要素として評価されます。また、消費税の不正受還付等により重加算税賦課決定処分があった機関については、行為の悪質性に鑑み、特に消極的な要素として評価されます。
(2) 労働関係法令・社会保険関係法令を遵守していること
雇用する従業員(アルバイトを含む。以下同じ。)の労働条件が労働関係法令に適合していることが必要です。また、労働保険の適用事業所である場合は、当該保険の加入手続を適正に行い、保険料を適切に納付していることが求められます。その他、健康保険及び厚生年金保険の適用事業所である場合には、当該保険の加入手続を行っていること、及び雇用する従業員の健康保険及び厚生年金保険の資格取得手続を行い、保険料を適切に納付していることが求められます。
これら労働関係法令・社会保険関係法令に適合していないと認められる場合には消極的な要素として評価されます。
5. 有償新株予約権の発行により調達した資金について
上陸基準省令の「経営・管理」の項の第2号ロには、「申請に係る事業の用に供される財産の総額(資本金の額及び出資の総額を含む。)が三千万円以上であること」とする基準が定められているところ、株式会社における払込済資本の額(資本金の額)又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の出資の総額が3,000万円以上の事業である場合には、上陸基準省令の第2号ロに適合しているものと認められるところです。
この点について、新株予約権の発行による払込金の取扱いについては、以下の1及び2の両方を満たす部分の金額について、上陸基準省令「経営・管理」の項の第2号ロの「3,000万円」に計上することが可能です。
- 新株予約権の発行によって払い込まれた、返済義務のない払込金であること
- 上記1の払込金について、将来、新株予約権が権利行使されることで払込資本となる場合及び権利行使されずに失効し利益となる場合のいずれであっても、資本金として計上することとしていること
なお、上記に係る提出資料としては、以下の書類等が必要となります。
- 新株予約権の発行にあたり締結された投資契約書(J-KISS型新株予約権契約書など)
- 上記ⅰの締結によって実際に払い込まれた額を証明する資料(通帳の写し若しくは取引明細書の写し)
- 上記ⅰの締結によって実際に払い込まれた額のうち、上陸基準省令「経営・管理」の項の第2号ロの「3,000万円」として計上して申請しようとする額について、将来、新株予約権が権利行使された際に資本金として計上することの誓約書等
本邦の大学等を卒業した留学生による起業活動に係る措置について
令和2年7月17日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生基本方針2020」等において、外国人留学生による我が国での起業の円滑化を実現すべきことが盛り込まれたことを受け、今般、一定の要件の下に、大学卒業後も継続して起業活動を行う留学生に最長2年間の在留を認めることとしました。
1. 概要
本邦において優秀な留学生の受入れに意欲的に取り組んでいるとされる大学等(※)に在籍中から起業活動を行っていた留学生が卒業後も継続して起業活動を行うことを希望する場合に、下記2(1)の要件を満たすことを前提として、在留資格「特定活動」による最長2年間の在留を認めることとします。
※ 「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校(大学、大学院、短期大学又は高等専門学校)
また、本邦の大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校又は専修学校の専門課程(専門士))を卒業した後に引き続き外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を利用して本邦に在留していたものの、期間内に起業に至らなかった外国人の方についても、下記2(2)の要件を満たすことを前提として、当該事業利用後に新たな措置への移行を認め、当該事業に基づく在留と合わせて最長2年間の在留を認めることとします。
2. 要件
(1) 本邦の大学等を卒業後直ちに本制度を利用する場合
- 申請人が本邦において優秀な外国人留学生の受入れに意欲的に取り組んでいるとされる「留学生就職促進プログラム」の採択校若しくは参画校又は「スーパーグローバル大学創成支援事業」の採択校(大学、大学院、短期大学又は高等専門学校)を卒業又は修了していること。 ※対象校は以下のリンク先から確認してください。 留学生就職促進プログラム:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1394574.htm スーパーグローバル大学創成支援事業:https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/sekaitenkai/1360288.htm
- 申請人が上記1.の大学等に在学中から起業活動を行っていたこと。
- 上記1.の大学等が、申請人が起業活動を行うことについて推薦すること。
- 上記1.の大学等が、申請人の起業活動について支援をすること。
- 申請人が起業活動の状況を上記1.の大学等に報告すること。
- 上記1.の大学等が申請人の起業活動の継続が困難になった場合等に帰国指導・支援を行うこと。
注: 要件2.~6.については、上記1.の大学等から提出された誓約書(参考様式1)をもって判断します。
(2) 外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業の利用後に本制度を利用する場合
- 申請人が本邦の大学等(大学、大学院、短期大学、高等専門学校又は専修学校の専門課程(専門士))を卒業又は修了したこと。
- 申請人が上記1.の大学等を卒業又は修了後、引き続き外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業をもって本邦に在留していた者であること。
- 申請人が外国人起業活動促進事業又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業を活用したものの起業に至らず、その後、引き続き本邦に在留して起業活動を継続しようとする者であること。
- 新たな措置への移行に際して、外国人起業活動促進事業における外国人起業活動促進団体(地方公共団体)又は国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業における関係地方公共団体が上記3.の起業に至らなかった理由について合理的な説明を行い、かつ、今後起業を行うことの確実性が高いことの評価を行うこと。
- 上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等が、申請人が起業活動を行うことについて推薦すること。
- 上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等が、申請人の起業活動について支援をすること。
- 申請人が起業活動の状況を上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等に報告すること。
注: 要件3.~4.については、上記4.の地方公共団体から提出された評価書(参考様式2)をもって判断します。 注: 要件5.~7.については、上記4.の地方公共団体又は上記1.の大学等から提出された誓約書(参考様式3)をもって判断します。上記(1)の場合の誓約書とフォーマットが異なるためご注意ください。
3. 提出資料
こちらのページからご確認ください。
4. 本措置に係る留意点について
本措置により認められる在留期間は最長2年間であり、この間に起業活動を完了する必要があります。起業活動が完了した際には、「経営・管理」への在留資格変更許可申請を行ってください。
5. 本措置に係る留意点について
本措置の適用を受ける外国人の扶養を受ける家族(配偶者、子)が引き続き本邦での在留を希望するときは、「特定活動」への在留資格変更許可申請を行う必要があります。当該申請に必要な資料は「家族滞在」の在留期間更新許可申請時と同様です。
