サイバーアタックの脆弱性とは?「人」が標的になる時代
2025.11.11UP!
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企業のサイバーアタック対策は万全ですか?多くはシステム防御(不正アクセスやウイルス)に集中しがちです。
しかし、現代の脅威はそれだけではありません。本当の脆弱性は「人」の心理や認知にあり、生成AIやSNSを通じて巧妙に攻撃されます。
この記事では、見落とされがちな「人」の脆弱性を突く認知戦のメカニズムと、企業が今すぐ取るべき危機管理の本質を解説します。
サイバーアタックの「本当の」脆弱性とは?
結論:現代のサイバーアタックにおける最大の脆弱性は、強固でないシステムだけではなく、容易に陥落しやすい「人」そのものも含みます。
サイバーアタックは、単に脆弱なシステムに侵入することだけではありません。典型的な攻撃は、不正アクセスやウイルスなど、耐性が強固でないシステムを狙います。
しかし、それだけではなく、従業員、物理的な脆弱性、その他のハックも仕掛けてきます。その結果、企業の多くは不正アクセスやランサムウェア対応のみを危機管理と考えがちですが、その視野は狭いと言えます。
脆弱な場所は、サイバー空間や物理システムに限りません。むしろ、「人」による脆弱性が非常に多いのが実情です。なぜなら、人こそが最も容易に陥落しやすい「脆弱なアルゴリズム」だからです。
見えない脅威「認知戦」のメカニズム
結論:生成AIとSNSアルゴリズムの組み合わせにより、世論操作や情報汚染(認知戦)が自動化・高速化されています。
人の脆弱性を突く攻撃の一つがディープフェイクです。これはエネルギーとシステムがあれば容易に作成できる武器です。
現代の大きな武器は、もはや銃や大砲、核だけではありません。例えば、ドローンやサイバー攻撃など、戦争のパラダイムは変更されています。このように、戦場が見えないことこそが、現代の戦争の本質です。
生成AIとSNSアルゴリズムによる6フェーズ
平議員が提示した「6フェーズ構造」は、この脅威を具体的に示しています。(出典:YouTube)
① 生成
生成AIでテキスト・画像・動画などフェイクを大量作成
② 投稿
投稿用アカウントと煽動アカウントで短時間に大量投稿
③ ブースト
いいね・RT・リプライを自動生成して「エンゲージメント」上昇
④ 拡散
SNSアルゴリズムが「バズ」と誤認しレコメンド拡散
⑤ 同調
著名アカウントが反応→一般ユーザーが拡散
⑥ 増幅
他SNS(YouTube、Instagramなど)へ波及
🔍 議員の核心:「外国勢力のナラティブを“善意の日本人”が結果的に拡散してしまう構造」。
ケンブリッジ・アナリティカ事件との関連
トランプ前大統領がたびたび「緊急大統領令」を発動した背景にも、この構造があります。
つまり、それは気まぐれではなく、ケンブリッジ・アナリティカ事件以降に顕在化した「認知戦」の延長線上にあるのです。
企業が今すぐ備えるべきサイバー危機管理
結論:サイバーインシデント対策のコストは、未来への投資であり「軍備費」に等しいと認識を改める必要があります。対策を怠れば、社会的な批判は避けられません。
スパイ法などが各国で法制度化されているのは偶発的ではありません。そして、これは企業その他の民間インフラも除外されません。
例えば、最近は弊事務所でも中国など特定のデータセンターエリアからのBotアクセスが増加しています。これはNoteなどのブログシステムでは気づきにくいものでした。しかし、ワードプレスに移行してサーバーが危険にさらされていると認識し、セキュリティを強化しています。
重要なのは、これらBotが大量アクセスすれば、サービス停止攻撃(DDoS攻撃)も可能な体制が整っている点を認識したからです。
アサヒビールの攻撃を「気の毒な事例」と捉える人もいます。しかし、攻撃者は「気の毒だ」と考えるその人自身を、まさに今、次の標的として狙っているのです。
対策コストは「軍備費」である
現在、日本では防衛費の増加が議論されています。同様に、企業がサイバーアタックに備えるコストは、まさに「軍備費」に等しいと認識すべきです。
なぜなら、サイバーインシデントから守るコストは、今後企業の大きな負担となることが確実だからです。
そして、もしこの備えを怠れば、企業が社会的な批判にさらされることは容易に想像できます。
専門家の視点:法的リスクと対策
今の時代においては、システムの堅牢性だけではなく、人に対しても堅牢性が要求され、単にシステムによって安全性を強制して、そうしたサイバーインシデントに備えるという仕組みでは対応できなくなりました。一人ひとりに対する教育コストに関しても配慮しなければ、大きなインシデントにつながる可能性があります。
まとめ
サイバーアタックはシステムだけでなく「人」の脆弱性を突く段階に入りました。
したがって、企業はこれを単なるコストではなく「企業防衛費用」として捉え、技術的・人的・法的な多層防御を構築すべき時代になったのです。
