赤坂国際会計事務所

米国の「データ主権」対抗指示と日本企業の経済安保・GDPR実務対応

2026.02.26UP!

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2026年2月、米国務省が各国の「データ主権」規制に対し、組織的な外交対抗を指示したことが判明しました。本記事では、トランプ政権の新たなデータ政策が日本企業のデジタル戦略に与える影響と、経済安保推進法やGDPRへの実務的な対応策を専門家が詳しく解説します。読者の皆様は、国際的なルール形成戦争の中での生き残り戦略を理解できます。


1.米国務省によるデータ主権規制への対抗指示

結論:米国は、自国AI企業の競争力を維持するため、各国が進める「データローカライゼーション(国内保存義務)」を不当な貿易障壁と見なし、全外交官に対し、Global CBPRフォーラムを軸とした自由なデータ移転枠組みの推進を指示しました。

ロイターが入手した機密公電(2026年2月18日付、ルビオ国務長官署名)により、トランプ政権の強硬な姿勢が浮き彫りとなりました。公電内では【GDPR】(EU一般データ保護規則)を「不要に負担の大きい規制」と名指しで批判。外交官には以下の任務が課されています。

  • ① 各国における越境データフロー制限案の早期探知と追跡
  • ② Global CBPR Forumの優位性を説くトーキングポイントの展開
  • ③ 米国企業のスケールメリットを阻害する規制への組織的抗議

2.覇権のルール形成戦争|保護主義と自由主義の非対称性

結論:米国の政策は、モノの貿易では保護主義を、データでは自由主義を掲げる「非対称性」が特徴です。これは、米国企業が支配するデータ移転インフラを国際標準化し、覇権を維持するための高度な制度設計戦略といえます。

この対立の本質は、設計哲学の違いにあります。

  • 法規制中心モデル(EU):違反への制裁を前提とした厳格な統制。
  • 認証・アカウンタビリティモデル(米・日・豪・加・韓等):企業の自主的な信頼性を認証する枠組み。

2025年6月に本格運用を開始した国際認証制度(CBPR/PRP認証)は、まさにこの米国主導の枠組みを具現化したものです。


3.日本企業への実務インパクトと対策(カード型解説)

結論:日本企業は、国内の【経済安保推進法】や【個人情報保護法】を遵守しつつ、米国からの「規制」という批判を避けるため、物理的な国内保管ではなく「リスクベースのデータガバナンス」への移行が求められます。

【経済安保・重要インフラ】

実務上の留意点:国内管理義務は米国の批判対象になり得ます。「国内保管」という形式ではなく、暗号化や鍵管理、アクセス監査といった「リスクベースの統制」で設計し、米国側へ論理的に説明できる体制を構築してください。

【EU顧客を持つ企業】

実務上の留意点:米国のGDPR批判により、EU側が執行を強化する「報復的運用」のリスクがあります。データ分類、処理目的、地域、委託関係を詳細に整理する「分割統治」の設計が不可欠です。

【APPI(個人情報保護法)対応】

実務上の留意点:【個人情報保護法】はローカライゼーション規制ではありませんが、越境移転の同意設計が米国から「摩擦」と見なされる可能性があります。対外的なガバナンス説明資料の整備を推奨します。


4.まとめ:生き残りのための3つの戦略

今回の動きは、AI時代の産業覇権を支える「データ移転インフラ」の設計権を巡る争いです。日本企業が取るべき道は以下の3点に集約されます。

  1. ① 【GDPR】と【CBPR】の双方に準拠するハイブリッド設計。
  2. ② 規制要件を「リスク管理」の言語で説明できるガバナンス体制。
  3. ③ 国際的な認証制度の一本化に向けた動向の注視。

 

著者情報

赤坂国際法律会計事務所
弁護士 角田進二(Shinji SUMIDA)

 

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