2025年12月10日、メキシコ議会はアジア諸国からの輸入品に対し、最大50%の関税引き上げを承認しました。このニュースを受け、コスト増大への懸念が広がっていますが、日本企業には大きな優位性があります。日本は【日墨EPA】の適用により、今回の引き上げ対象から明示的に除外されているので慌てる必要性がありません。本記事では、2026年1月1日から施行される新関税ルールの詳細と、日本企業が享受できるメリット、そして今確認すべきアクションについて解説します。
メキシコ関税引き上げの概要と施行スケジュール
メキシコ議会での承認に基づき、中国、インド、韓国、タイなどアジア諸国からの輸入品約1,500品目に対し、新たな関税措置が適用されます。
- 施行日:2026年1月1日
- 対象国:中国、インド、韓国、タイ等の非FTA締結国
- 対象品目:自動車部品、衣類、鉄鋼、プラスチック、金属製品など
- 税率:多くの品目で一般的に35%(最大50%)の追加関税
【重要】日本が関税引き上げから除外される理由
今回の法改正において、日本は明示的に高関税の対象から除外されています。その根拠となるのが、二国間の経済連携協定です。
日墨EPA(経済連携協定)の効力
日本とメキシコの間には【日墨EPA(日本・メキシコ経済連携協定)】が結ばれています。メキシコはUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)を含む広範なFTAネットワークを有しており、これらの協定を遵守する日本企業の工業製品は、メキシコ向け輸出時に関税が撤廃、または大幅に軽減される仕組みが維持されます。
日本 vs 非FTA諸国(中国等)のコスト比較
同じ品目を輸入する場合でも、原産国によってコストに劇的な差が生まれます。
免税 / 低率
根拠:日墨EPAの適用
これまで通り、関税撤廃または軽減措置が継続されます。競合他国に対して圧倒的な価格競争力を維持可能です。
最大 50%
根拠:TIGIE一般税率 + 追加関税
【TIGIE(メキシコ統一関税規則)】の一般税率に加え、今回の改正による15~50%の追加関税が課されます。
インド等への影響と市場の動向
特に影響が大きいとされるのがインドです。2026年1月1日以降、1,455品目に対して最大50%の関税が適用され、自動車部品や繊維など約20億ドル相当の輸出に打撃を与えると予測されています。
これに対しインド政府は、特恵貿易協定(PTA)を提案し、2025年12月12日から技術協議を開始しましたが、合意に至るまでは時間を要する見込みです。
中国生産・メキシコ輸出のモデルを採用している企業は、部材の調達先を日本やUSMCA域内に切り替える検討が急務です。」

