赤坂国際会計事務所

なぜ日本は人工知能の学習データ収集場所として良いのか

2023.04.16

人工知能においては、まずデータ収集場所が必要となる。その結果、大量データを使用できる環境が欠かせない。さらに、活用方法を法律的に整理することも重要である。

著作権法における利用の範囲

著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用)
(Exploitation without the Purpose of Enjoying the Thoughts or Sentiments Expressed in a Work)
第三十条の四
著作物は、次に掲げる場合、または思想や感情を享受しない場合には、その必要と認められる限度で利用できる。ただし、利用態様によっては著作権者の利益を不当に害することがあるため、その場合は認められない。
Article 30-4
It is permissible to exploit a work to the extent necessary, if the purpose is not to enjoy the thoughts or sentiments expressed. However, this is not allowed if it would unreasonably harm the copyright owner’s interests.

具体的な利用事例

録音・録画技術の開発や実用化のために試験利用する場合
(i)if it is done for testing to develop or put into use technology for recording or similar purposes.
多数の著作物を対象とした情報解析に利用する場合
(ii)if it is done for data analysis, such as extraction, comparison, or classification from a large number of works.
コンピュータ処理に利用する場合。ただし、人が知覚的に認識しない利用に限る。
(iii)if it is used in computer processing without involving human sensory recognition.

国際比較と日本の位置づけ

ドイツやアメリカ、英国と比べ、日本は明確にテキストデータマイニングを認めている。このため、研究者や企業は安心してマイニングを実施できる。さらに制度的な裏付けがあることで、国際的にも競争力を保ちやすい。
参考資料: 経産省資料

日本における適用要件

日本で著作権法を適用する場合、最低限の要件がある。第一に、データマイニングの作業者が日本にいること。加えて、対象データが日本国内に存在すること、つまりサーバーが国内にある点も条件となる。

商業利用と公益利用の境界

商業目的での利用は難しい場合がある。そこで公益目的としてLLMを構築し、その後に別の利用へ転用する手法がある。実際に海外ではこの方式を採用するケースが多い。

海外企業進出時の留意点

海外企業が日本に進出する場合、外為法の規制を受ける。規制の結果、事前届出として扱われるケースが多く、手続き上の負担が生じる点には注意が必要だ。
参考資料: 外為法関連資料

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