赤坂国際会計事務所

準拠法は、なぜ大事か?

2012.02.08

皆さんの中で、準拠法がなぜ大事か考えた人はいますでしょうか。

力関係を示すものとして大事だから。よく分からない法律を適用されるのはまっぴらごめんだから。

以上の理由は確かに一理ありそうです。

しかし、それでは、準拠法の大事さの理解から回避しているようにも思えます。

準拠法は、簡単に説明すると、契約を履行しなかったときの他、契約の解釈等契約内容に関して争いになったときに適用される法律です。

それは、仲裁、裁判などのほか、話し合いでも拠り所になりうる条文です。そして、その条文に関し判断機関が判断してきた先例が多くあります。

重要な契約で、準拠法も検討せずにサインをすると、本来的には調査すべき事項である条文を看過することになります。弁護士を通さず締結するとより曖昧かつ不十分なところがでます。その不十分な部分について、条文、先例を介在させる必要がでるわけです。

日本だけを見ていると分かりませんが、世界各国には様々な国事情があります。強行法規は、その契約を無効にすることもあります。そして、強行法規でなくても、解釈が分かれるところがあれば、何らかの基準が必要になります。そのときに重要なのが、準拠法です。

その事も知らずに契約をするということは、後に交渉する際に不利になってもやむ得ない状況を招きかねません。

力関係が余りに違う場合、準拠法を母国法にすることは難しいと言えます。その場合、準拠法を検討する必要全くないではないかという考え方もあります。確かに、交渉で一方的に押し切られる可能性はあります。しかし、経営を考えていく上で、無視できるリスクと、無視できないリスクを考えて行く必要はあります。もし、数万円のリスクにすぎないのであれば、絶対的な基準とはいえませんが信頼関係で後はやっていくことも考えられます。しかし、年間売り上げ1千万以上であれば、リスクを予測しないで締結して後でこじれたとき、誰が悪いのかという犯人探しをしつつ、証拠を付け焼刃で用意することになります。そして、母国法ではないということで、そうした法律のチェックも弁護士に早急に依頼する必要もあります。外国が裁判管轄の場合、適正な外国人弁護士を早期に探さないとなりません。その国が何度も法律を改正している場合いつ時点の法律の適用なのかもチェックする必要があります。

すべてを早期にしなければならないとすれば、すべての部署で負担がかかります。弁護士にも負担が相当分かかる以上、チャージもかかるということになります。前もって動くことがいかほど大事か御理解下さると思います。

実際、裁判で母国法と異なる法律が適用になる場合、裁判所に理解せよと言っても簡単には理解できません。法律は、規定されたことがすべてではありません。先例も必要に応じて提出しなければなりません。そして、準拠法の実務で当然の前提とされていることは如何なる文献でも書いていない場合もあります。そうしたものをどうやって立証していくかも考えていく必要があるのです。

すべての書面でかかるチェックを行うことは実務的ではないとはいえ、自分を疑うことは常にしておいたほうが良いと思います。費用対効果の感覚は、1年ではものにはなりませんが、常にどのようなリスクがあってどう回避するのかを紙に書いて検討してみてください。そして、看過できないと判断した場合、直ぐに弁護士と相談しておいたほうが、小さいコストで大きいリスクを回避することにつながる場合もあります。

この点、どういう弁護士に相談すべきかは非常に重要です。国際契約にもかかわらず、国際案件を携わった経験のない弁護士に依頼するのは非常に危険です。外国人と日本人の考え方の違いすら理解していない場合もあります。経験豊かな弁護士に依頼するといいわけですが、その経験が新たなリスクを小さく考えることもあります。やる気を感じる、そして会社のコストに関しても関心をもってくれる、バランス感覚のある弁護士を探してみてください。

弁護士 角田 進二

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