赤坂国際会計事務所

海外子会社の管理2

2015.06.15

海外子会社で何が起きているのか分かる本社の人は少ない。寧ろ皆無なのかもしれない。そこで、雑駁ながら、注意点を記載する。

1)裏切られても、想定内のスキームを作る。

会社の代表者が、自分以外の管理者がいないことに乗じて会社に自分のイエスマンを置くことがある。専門家も自分好みの人にしてしまうこともある。自由に不正をする環境を整えてしまう。最初は小さく不正を行い、徐々に大胆になる。親会社の役員の親しい方が代表者になっていたとしても、巻き込まれたりし不正を許容してしまう場合があるから注意を要する。

その際に、必要なのは裏切ることを前提にスキームを作ることである。その一環として透明化を図り、いつでも他のものが引継ぎができるシステムを構築することである。重要な文書は、本社と共有するべきである。本社も各国の法律の理解を深めておくべきである。さらに、現地の会計事務所は、本社側も確保しておいた方が望ましい。会計事務所が、不正を見つけるパターンが多い。弁護士事務所が不正を見つけるパターンとしては、弁護士は、守秘義務その他を考えると親会社に言い出しにくい状況になったりする。弁護士の目線は、親会社よりも子会社の代表者に近い場合が多い。よって、緊急の場合を想定して、寧ろ日本で緊急事態を想定して対応してくれる事務所を選定しておくと、日々そうした日本の弁護士が現地の法律について説明をしてくれるので便宜である。

数年に1回はデューデリを行う。管理者がいない状況であったり、管理者が数年に一回しか来ないレベルだと、代表者はそういう現地を知らない人間に対して情報を共有したいと思わない。何も知らない人間に情報を提供しても忘れるだけである。やるのであれば、デューデリを行い、必要な文書を確保し危機管理に備えることである。

代表者に休みを取らせる。引継ぎを代表者の息のかかっていない人物にやらせる。代表者が定期的にそうしたチェックを受けているということであれば、そうした意識をもち、行動する。

2)現金についてはタッチさせない。

代表者にとっては、給与その他の金銭の授受を現金でやりたいと述べるものもいる。ありえない話のようだが、そうしたケースはある。銀行であれば、送金先等明らかで不正なやり取りはできないが、現金にしてしまうとその流出先が分からなくなる。証拠がなければ警察にも行くことが出来ない。もっとも、警察が動いてくれるかは別の次元の問題と思っておいたが良いが。

代表者の責任追及する際に、子会社の管理が杜撰だと親会社が悪いのかその責任者が悪いのか分からない場合がある。そこで、親会社側としては、「犯罪を作り上げてしまった親会社が悪い」という気持ちで日々管理するくらいが望ましい。全部任せていたという放任では、子会社の他の従業員に対する示しがつかない。代表者が不正行為をしていたら、自分もやるか、それともやめるかの選択肢しかない。親会社に通報という選択肢はほとんどないと思っておいた方がよい。こうした通報は、従業員が辞める際親会社に来る程度で、親会社は事実を把握しにくい状況にあったりする。

本日はここまでで終了する。

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