赤坂国際会計事務所

アメリカのBIS 50%ルール:「1年執行停止」

2025.11.13UP!

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米国BIS「アフィリエイツ・ルール」1年間停止

中国の希土類規制緩和と引き換え、2026年11月に再適用予定

2025年11月12日

概要

米国商務省BISは2025年11月11日、エンティティ・リスト企業が50%以上所有する関連会社を自動的に規制対象とする「アフィリエイツ・ルール」を 1年間停止 すると連邦官報で公表した。停止は米中交渉の結果で、中国はガリウム等の対米輸出禁止の停止を発表している。

ポイント

  • 停止期間:2025/11/10〜2026/11/9

  • 再適用:2026/11/10(停止は“廃止”ではない)

  • 対象:エンティティ・リスト企業が50%以上直接・間接所有する関連会社

  • 背景:中国の希土類輸出禁止の停止

  • 企業には 来年の再適用に向けた準備期間 が与えられる形

アフィリエイツ・ルールとは

2025年9月に公布された規則で、
エンティティ・リスト企業が50%以上所有する関連会社に対し、自動的にエンティティ・リスト同等の規制を適用 するもの。

複雑な中国企業グループ、合弁事業、オフショアSPVなど、広範囲に影響が及ぶ可能性が指摘されていた。

今回の停止措置の位置づけ

二段階の構造

  1. 2025/11〜2026/11:停止期間

    • EAR改正を一時的に凍結

    • BISが実務影響・外交効果を再評価

  2. 2026/11/10:自動再適用

    • 規則文上も再適用が明記されており、停止は一時的措置

米中交渉の文脈

  • 米国:停止を発表し交渉カードを提示

  • 中国:希土類(ガリウム等)の対米輸出禁止を停止

    • ただし輸出は引き続きライセンス制で完全解除ではない

日本企業への影響と対応

1. いま必要な短期対応

  • サプライチェーンの所有構造を棚卸し(親会社・子会社・間接所有)

  • スクリーニング強化(関連会社データの整備)

  • 合弁・投資案件の棚卸し(50%基準への影響確認)

2. 来年の再適用に向けた準備

  • 輸出管理プログラムの改訂

  • 代替サプライヤーの確保

  • 2026年の規制強化を前提に、リスクシナリオを複数準備

日本企業にとって最大のリスクは、取引相手が「間接所有50%」に該当していたことが後から判明するケース
所有関係の見えない「影の規制対象化」に備える必要がある。

著者情報

赤坂国際法律会計事務所
弁護士 角田進二(Shinji SUMIDA)

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