赤坂国際会計事務所

2019年以降の新しい相続について備えよう 相続法改正

2019.01.06

皆さん、新しい相続法が2018年に成立(正確には改正)したのはご存知ですか。

主な改正は以下の通り

1)婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の生前贈与(2019年7月1日以降に適用)

2)配偶者居住権(2020年4月1日施行)

3)相続された預貯金債権の払戻しを認める制度(2019年7月1日施行)

4)自筆証書遺言関係(2019年1月13日施行)

5)法務局における自筆証書遺言の保管制度新設(2020年7月10日施行)

6)遺留分制度(2019年7月1日施行)

7)相続人以外の人間が貢献した場合の報酬等(2019年7月1日施行)

ポイントを列挙しましょう。

1)婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の生前贈与(2019年7月1日以降に適用)

現在は、生前贈与したとしても、反対の意思がない限り、遺産の先渡しを受けたとみなされます。よって、生前贈与しても相続財産として取り扱われてしまうのです。

例えば、折角家(4000万円)を奥さんに生前贈与しても、その後2000万円を口座に残して死亡された場合

合計6000万円を遺産と換算されて、3000万を子供へ、残りの3000万を奥さんへという振り分けになってしまう。そうすると、「母さん、家を売って、1000万円を渡してよ」といわれかねません。勿論、被相続人の意思が明確で証拠に残っていたら問題はないですが、そうでもないと困ったことが発生します。

法改正後(但し施行後)は、4000万のことは忘れて、2000万を遺産全額として考えるだけで済むことになったわけです。

 

2)配偶者居住権(2020年4月1日施行)

以上の例のように、奥さんが追い出されたら大変。

ア)短期での保護

奥さんが,相続開始時に被相続人の建物(居住建物)に無償で住んでいた場合には,以下の期間,居住建物を無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得します。最低限6か月は居住できるようになるわけです。

① 奥さんが居住建物の遺産分割に関与するときは,居住建物の帰属が確定する日までの間(ただし,最低6か月間は保障)
② 居住建物が第三者に遺贈された場合や,奥さんが相続放棄をした場合には居住建物の所有者から消滅請求を受けてから6か月

イ)終身等までの保護

 奥さんが相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として,終身又は一定期間,奥さんにその使用又は収益を認めることを内容とする法定の権利を新設し,

① 遺産分割における選択肢の一つとして
② 被相続人の遺言等によって
配偶者(奥さん)に配偶者居住権を取得させることができるようにする。

分かりにくいかもしれませんので、以下の図をご参照ください。

http://www.moj.go.jp/content/001263589.pdf

居住権というのを確保することで、奥さんに流動資産(具体的には金銭のようなものですね)を持たせる柔軟性を確保。これの重要性は、争いがあるときに、配偶者(奥さん)の生活を維持するため特に必要と認めるときに裁判所の判断によって特別に居住権が認められる条文があることですね。よって、奥さんは、子供が困ったことを言ってきた場合、審判で最低限この主張をすることで、居住を維持することは可能ですね。

 

3)相続された預貯金債権の払戻しを認める制度(2019年7月1日施行)

遺産分割における公平性を図りつつ,相続人の資金需要に対応できるよう,2つの制度を設けることとしました。
ア)預貯金債権の一定割合(金額による上限あり)については,家庭裁判所の判断を経なくても金融機関の窓口における支払を受けられるようにする。
イ)預貯金債権に限り,家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件を緩和する。

ア)については、葬儀とか生活費、相続債務の弁済などの資金需要があっても、銀行からおろすことができないとすると困りますね。そこで、一定限度については、銀行等において支払いを受けることができます。

(相続開始時の預貯金債権の額(口座基準))×1/3×(当該払戻しを行う共同相続人の法定相続分)=単独で払戻しをすることができる額

これを見る限り、銀行に必要書類を渡さなければならないこともわかります。

イ)については、仮払いの必要性があると認められる場合には,他の共同相続人の利益を害しない限り,家庭裁判所の判断で仮払いが認められるようにしてます。

 

4)自筆証書遺言関係(2019年1月13日施行)

自筆でも、財産目録について手書きで作成する必要がなくなります。長い細かい財産目録を書くのは時間の無駄ですね。財産目録について各ページに署名押印すれば、OKになります。但し、施行されてからですよ。

 

5)法務局における自筆証書遺言の保管制度新設(2020年7月10日施行)

自筆証書遺言の場合、通常は裁判所にもっていかなければなりません。しかし施行後は法務局で扱ってくれるので、自筆証書遺言を作成したら法務局にもっていきましょうね。

 

6)遺留分制度(2019年7月1日施行)

 ア)遺留分減殺請求権の行使によって当然に物権的効果が生ずるとされている現行法の規律を見直し,遺留分に関する権利の行使によって遺留分侵害額に相当する金銭債権が生ずることになります。これによって、勝手に共有状況になることを防ぐことが可能になり、金銭債権だけが残ることで、受遺者が安心できるスキームになってます。

遺留分減殺請求により、株式を共有するとか、土地を共有にするとか、煩雑になりそうなところ、金銭で終わらせるというのは助かります。

イ)遺留分権利者から金銭請求を受けた受遺者又は受贈者が,金銭を直ちには準備できない場合には,受遺者等は,裁判所に対し,金銭債務の全部又は一部の支払につき期限の許与を求めることができます。巨大な金銭債権だと資金繰りに困ってしまいますね。その時には猶予をしてもらうことができます。

 

7)相続人以外の人間が貢献した場合の報酬等(2019年7月1日施行)

相続人以外の被相続人の親族が,無償で被相続人の療養看護等を行った場合には,一定の要件の下で,相続人に対して金銭請求をすることができるようにしました。

http://www.moj.go.jp/content/001263590.pdf

相続人である旦那さんがなくなったのだけど、その奥さんが被相続人と同居して介護した場合、なんらの評価されません。それではかわいそうですね。

施行日以降、関係者の方はしっかり請求しましょう。

 

8)その他

他にも変更があります。ご注意ください。

http://www.moj.go.jp/content/001263585.pdf

以上でも、かみ砕いて説明しましたが、素人判断より専門家による判断の方が、分かりやすくて紛争が発生しにくいです。お近くの弁護士などにご相談ください。

(重要事項)

勿論、相続関係については、遺言書をあらかじめ作るのが鉄則です。終活は、事前の準備が必要で、意思決定できる若い時期から習慣としてやっておくべきです。まだまだとか、縁起が悪いからなどと言っているうちに、何も作れず、争族になった例は沢山あります。勿論、遺留分減殺請求など争いはあります。それでも、ちゃんとした、配慮をすれば争族は防ぐことができます。早めの専門家に対する相談をされてくださいね。

 

 

 

 

 

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