赤坂国際会計事務所

AI法務室

1.AI法務という思考が必要な理由

従来型の法務は、ハードローを中心にガイドラインを追っかけるスタイルでよいものでした。その理由は研究を経て、実用化、汎用化まで、30年程度かかるので、ハードローという調整は時間がかかるものの準備できるものでした。

今は、あらゆる技術が指数関数的に発達し、それがさらに重ね合い、研究を加速化させる流れになっています。その結果、コンセンサスができないまま、とりあえず自主規制を走らせていく、とはいえ、国際協調をとり、その理念、ガイドラインを普及させるものになっています。

この流れはデータガバナンスなどを中心にしていましたが、そのデータを蓄積させることで飛躍的に精度をあげやすいAIにおいては特にマッチしやすいものです。そして、AIは、PC、インターネットと同様にあらゆる人間の作業にインパクトを与えるものです。

特に、日本においては高齢・少子化という流れもあり労働人口は減ってきており、生産性を飛躍的に上げていかなければ貿易赤字を大量に出しかねない状況になっております。現にOECDでの1人あたりの労働生産性は29位と非常に労働生産がが低い状況であり、以下にデジタルトランスフォーメーションを加速させるかが重要な鍵になっていました。

日本においては、EUのAI規制法案に学ぶ形で、広島での会議を経て、G7の協調路線をとり、アジャイルガバナンスの一環として、AIの規制法についての検討を始めています。そのEUのAI規制法案も、3ヶ月の短いスパンでGPTの技術に対応したファンデーションモデル(基盤モデル)に対策した規制を入れ込んでおり、規制の方も加速化しています。

要は、企業側のマインドセットも同様に変化が必要であり、アジャイルガバナンスにもした形で、着実に新しい技術を導入しなければなりません。そこで、弊事務所は、AIの技術に対応したアジャイル法務の一環として、AI法務室を立ち上げました。

これは単に開発者側の会社の法務だけではありません。現状ではAIに関しては、使えば使うほどユーザーサイドも開発側に準じた責任を負う形になることが予想されます。例えば、車の会社がAIを導入したらその製品の責任を会社が負う、製薬会社がAIの製品を受け入れたらその責任を負う、いかなる企業もAIによって発生した第一責任を負いかねないという状況にあります。

とはいえ、それによって直ちにその利用を取りやめるということは、競争優位性の観点からはできない相談になりつつあります。そして、その判断をすることで、従業員がやめる可能性もあります。

とすれば、技術を受け入れつつ、アジャイルにリスクに対応できる状況を作り続けるというものが必要です。単に、テンプレとして他の企業が使っているものを流用する時代は終わりました。理由は、各企業が使うAIも異なり、その使うニーズも異なるからです。それではどのように対応すべきか。

 

2.若い人材とエンジニアは必ず使わないといけない宿命

AIなどの技術に関しては自分のキャリアアップで使わないと、労働生産性を上げることができません。比較的年配の労働者にとってはそうした技術を使うインセンティブはそれほど高いものではないものの、若年層においてはさらに若いレイヤーが使い競争がさらされることを考慮すると使うことになります。同様に、エンジニアも最新のテクノロジーを触ることができなければ付加価値が下がることから、使う必要性が高くなっています。会社に黙ってでも使うことも考慮に入れなければなりません。

よって、ルールさえ決めればうまく回る、責任を負わないという考え方は、比較的無責任な考えになりつつあります。転職することで、そのアカウントをそのまま使われる可能性もあり、過去とは異なります。そして年配の方は使わないことからルールを守るということで、比較的年配の方が残り、AIを使う人材は消失する可能性があります。成長可能性がある企業に就職・転職をするということになれば、貴社はその時点で勝てない可能性すらあります。

例えば、ChatGPTは6月頃のデータでは10%の方が常時使う形となっています。10%と90%の人材とどちらを優先すべきでしょうか。過去ならば間違いなく後者ですが、今は前者にして変革可能な状況にすることが優先されます。

3.未来の組織図

未来の組織は、以下のように、個人の能力とシステムに頼る形になります。組織は人が足りず、回すことができないことを予測して動くしかありません。

例えば文章生成系のAIの場合、あらゆるコミュニケーションで使われるため、以下のように抽象具体両面で使われます。

なお、このようなGPTの場合、プログラミングでも使えるため、人対人だけではなく、人対機械という両方で使える点も認識しておく必要があります。

4.アジャイル法務

経営者は利用原則を決めていくことになります。これにより行動指針を決めやすくします。

その上で、どのように決めるかを決定することになりますが、GPTその他は各部署によってニーズが異なることが理解できます。それを無理やり決めれば、反発が出てきます。

利用促進を目指して動くのが先決事項であり、かつ、システムを整え、モニタリングができるようにするが大事です。モニタリングをするということは、共有サーバー内にアクセス可能な状況にすることを意味します。

 

法務とその他の部署は、それぞれ異なる形で、AIの導入に向き合います。

こうした手法を採用するために、弊事務所はサポートします。