D2Cにおける法務留意点(景品表示法、特定商取引法、著作権法、商標法その他)
2023.04.20
現在の製造業や販売店は、すぐに店舗展開せずに、オンラインで引き合いがあるかを見て、そこで損益分岐点を超えるか否かを確認する作業が必要である。なお、すぐに店舗展開するとコストとして、従業員の賃金、店舗改装費、在庫費用、賃料その他の維持費で、すぐに費用を費消してしまう。
そこで、クラウドファンディングやBASE、Shopify、Amazonなどを使って商品販売をする。
経験上そこで見ておくことは、費用(輸送コスト、包装費用、製造コストなどを含めて)を視野に入れておくことである。
勿論、マーケティングとしてSNS(Twitter, Facebook, instagram, その他のソーシャルネットワーク)を使い、如何に宣伝コストがかからないようにするか、そして、フリーペーパー、新聞、雑誌などPRにも配慮する必要がある。D2Cにおいて、広告宣伝コストをかけ過ぎることは自殺行為に等しい。
認知→ナーチャリング→関心→値段その他の調査があり購入という段取りがあることを忘れてはならない。とすると認知のコストをかけても、販売に繋がらない状況が多いため、キャッシュフローが苦しい展開になってしまう。金をかけずに、認知をしてもらうには、社会的な関心があり、興味深く、報道者がそれを伝えるメリットがある状況を作る必要がある。そこで、ついつい、製品に関して大げさに書いてもらったり、ないことを自ら書いてしまうケースもある。又は、面白い文書や綺麗なデザインを使おうとして、著作権を違反してしまうケースもある。
スタートアップだから、法律違反が許されるというものではない。ただ、リスク許容度を見つつ、成長するしかない。
1)著作権関連
①ありふれた表現
著作権関係についてはどうしてもこの文章になるというありふれた表現というものがある。例えば契約書に関しては、ありふれた表現が多くなる。勿論、色々配慮した表現については著作権が認められるケースもあるが、それもまれなケースである。
②デザイン性が認められるもの
これに対してデザイン性、工夫が認められやすいもの、例えば絵画や写真は、注意をした方が良い。この場合、ご存じだとは思うが、Pixtaその他の写真やイラスト使用のプラットフォームを使うケースもある。しかし、同様にCanvaなどを使い、自らデザインを作るあげることもできる。自分がどこまでデザインにこだわるかという話もあるが、著作権違反をしないように工夫をしておく必要性がある。
2)類似形態にご注意
著作権だけではなく、商品については類似した形態を模倣した場合に問題になるケースもある。たとえばはやりものだから真似したケースに関してはその問題が発生しやすい。これらは不正競争防止法の違反事由に該当し、罰則も伴う。
3)商標関係についてもご注意
有名なロゴは間違いないが、そうでなくても登録された商品名などを勝手に使ってしまうと商標法違反になる。D2Cにおいて自らのブランドを毀損するような真似をすることは考えられない。寧ろ、早めに自己の商標を登録して、他の人たちに使われないようにすることが肝要である。そうでないと、Googleの検索で埋もれて、誰がオリジナルかもわからない状況になり、販売が容易ではない、乗っ取られる可能性もある。
4)意匠権やデザイン
意匠権については、どのような商品なのかで判断した方が良い。例えば、車その他の工業デザインになるような商品であれば登録まで視野に入れておいた方が良いが、大体のケースは登録まで必要ないケースである。論点は、どの程度のマーケット規模で、どのくらいのデザイン変化が常に求められるかである。専門家の知見が要するところなので、早めに相談した方が良い。
5)特許
特許については、様々な工夫が必要になり、発明を守りたいと思っているケースで相談を受けることが多い。しかし、あまり進歩性ない(つまり、改善レベルが予想を超えないケース)については登録されない。また、相手に侵害されても、訴訟に金がかかることは理解した方が良いです。つまり、キャッシュが尽きたら、そこで終わるということを念頭においてよいです。なお、投資が受けやすくなるという効果はあります。
6)表現・表示の正しさ
表現が難しいから、CHATGPTに投げて、チェックしないということも大事です。
①ひどいケースは詐欺的な記載になります。
表現等チェックして、問題がありそうなものは専門家と確認をした方が良いです。
②そこまでひどいとは判断できない場合も以下にご注意ください。
・特商法の規定
誇大広告に近いものであったりすると、特商法違反につながりますし、根拠なども用意しておく必要性があります。
・不正競争防止法の規定
以下の通りの規定にも違反することになります。
二十 商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量若しくはその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような表示をし、又はその表示をした商品を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、輸入し、若しくは電気通信回線を通じて提供し、若しくはその表示をして役務を提供する行為
・景品表示法の規定
以下の通りの規定にも違反する例もあります。このレベル感になると、おそらく一般の人では理解できないエリアもあるので、早期に専門家と話した方がよいです。